Dreams ページ35
「友也くん!」
「ぐえ!?な、なに!?」
私を片手に、『はじめ』は勢いよく『ともや』に抱きついた。てっきり、私を『えいち』たちに預けている間に会っているのかと思っていたのだけれど、どうやら私の予想は外れてしまったみたい。
「友也くん、ともやくんごめんなさい僕ぅ……!」
「ちょ、おち、落ち着けって創!」
ふと、『ともや』と目が合う。その視線は迷うように揺れて、やがてあるところに止まった。
「……」
「友也くん?」
「あ、いや……」
*
「A……って、誰だっけ?前のマネさん?」
「んもう、何言ってるんですか。」
それはいつの日か。いつかはやって来ることの世界を見た。この中に私はいないけれど、幸せそうな顔をしているから、そんなことなんてどうでもよくなったの。
「もしまた会えたら、謝りたいんですよね」
「あやまる?」
「あのとき、置いていってしまってごめんなさいって。僕、ほんとは……」
あら、結局あの時の、『はじめ』の答えは知ることができないのね。それもそうね、だってこれは私の記憶でしかないのだもの。知らないものは知らないまま。
これは夢なのかしら。初めて見る夢は、懐かしくて暖かい。ふと『なずな』はいないはずの私を見据えて、表情を和らげた。
「……ねぇ、A。おれとの生活は楽しかった?」
ええ。
「そっか。……おれがいなくなっても、いい人に見つけられるといいな。」
そうね。まだ、想像はつかないけれど。
「それじゃ、またいつか。明日でも、来週でも、来月でも、来年でも。来世でもきっとおれたちはお前を待ってるよ」
そして、私の意識は暗く沈んでいく。
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作者名:竜花 | 作成日時:2020年7月8日 23時