検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:18,319 hit

2枚目 桜の木 ページ4

──ジー、ジー、パシャ。

 中腰で桜に立ち向かうボクは、さぞ不審者に見えただろう。

「ん、夏目?」

「バルくん」

 ピントをいじっていると、明星スバルことバルくんが声をかけてきた。

「何それ、カメラ?」

「まぁ、ウン」

「へぇ、好きなの?」

「別二」


カメラに繋がっている赤い紐を手首にかける。

そしてボクはバルくんにレンズを向けた。


「あ、撮るの?いいよいいよ撮って撮って!キラキラに!!」

「キラキラって何……?まぁいいヤ。」


片手をカメラのシャッターに。

もう片方はカメラ本体に添えて。


「へへ」

「何笑ってるノ。ホラ、撮るヨ。」


カメラに自分の目を近づける。

レンズ周りを回してピントを合わせれば、カメラ越しにバルくんの顔が見えた。


カシャ、と軽い音。

カメラから目を離せばたちまちバルくんが近づいてくる。


「撮れた?ねぇ見せて見せて!」

「今は見せられないヨ。デジタルカメラと違うからネ。今度刷ったのあげるかラ。」

「へぇ、デジタルと違うんだ。」

「バルくん、興味を示すのはいいけどボクに覆い被さるのはやめてネ。」


バルくんの赤いネクタイがボクの肩からずり落ちる。

まだ会って間もないのになんというコミュニケーション力だろう。



「それじゃあね、夏目!」

「ハイハイ」


今日は真っ先に写真屋に寄ろう。

ボクらしくもないけれど、そんなことは関係ない。


「あれ、奇遇ですね」

「……」


そんなとき、ふと現れたセンパイにボクは腹が立って、力一杯の回し蹴りを決めたのだった。

3枚目 『五奇人』→←1枚目 初めまして



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
60人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 逆先夏目
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:竜花 | 作成日時:2019年8月15日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。