40-フライヤー- ページ41
9人でフライヤー配りをはじめて暫く経った。大きな段ボール箱いっぱいに入っていたフライヤーも、もうだいぶ捌けた。
「オニイサンもライブ、観に来てくれるといいですね!」
陸に兄がいるらしく、それについて一部が盛り上がりを見せた。億斗は会話には参加せず、BGMのようにぼんやりと聞き流してフライヤーを配っていく。そんな中、億斗の背に声がかかった。
「あっ! キミ、もしかして……!」
「え……?」
声のするほうを振り返ると、そこには大学生らしき女性が4人立っていた。億斗の顔を見るなり興奮した様子で「キャーやっぱりー!」と声をあげた。
「大きくなったねえー!」
「ホントホント! 最後に見たときはうちらと身長変わんなかったのに!」
「ねー! カッコよくなった!」
「あ……ありがとう、ゴザイマス」
億斗が戸惑いながらも応対すると、女子大生達はさらにヒートアップしていく。
「せ、成長してる……! わぁぁ、私泣きそう……!」
「親戚のおばさんか。でも本当、カッコよくなったよね!」
「うんうん! あ、これチラシ?」
胸に抱えたフライヤーを見つめる彼女達に、億斗はハッとして1枚ずつ手渡した。
「……へえー、IDOLiSH∞っていうんだー。ぜったいに応援するね!」
「私も! 大変だろうけど、活躍楽しみにしてるから!」
億斗を激励し、フライヤーを大事そうに鞄に仕舞って去っていった女性達。微笑んで手を振りながらその背を見送る億斗の隣に、静かに一織が並ぶ。
「億斗」
「……大丈夫だよ」
「……」
「疑うような目ぇやめて」
「億斗の『大丈夫』は信憑性も説得力もゼロなので」
「ちょっとは信じてくれてもいいんじゃないかなあ一織サン!?」
さも当然だと言うように溜め息混じりに言う一織。爽やかな、そう、爽やかな笑顔でさらりと毒を吐く。
「兄さんの『大丈夫』はまだ信じられますけど、億斗のは、ちょっと」
「〜〜……ッ! お、俺だってお前の兄ちゃんだろ!」
「私達、双子じゃないですか」
「双子だって兄と弟じゃんか!」
「どうせ違いなんて数秒程度でしょう」
「日付跨いでるし!」
「日付が変わる直前と変わった直後に産まれればそりゃあそうなりますよ」
「お前ら、ケンカはやめろよー」
仲裁に入ってきた大和に、一織と億斗の冷静な声が重なって返る。
「「別にケンカじゃないですけど!」」
「……そっすか……」
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久薙聖楠(プロフ) - 真紅さん» きゃー!!!そっちです!!!!ずっと直そう直そうと思って忘れてましたありがとうございますすみません〜〜〜〜!!!!!恥ずかしいし申し訳ない(´;-;`) (2018年4月16日 17時) (レス) id: ae62bd0b5f (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - すいません!スペックのfpはピアノフォルテではなく、フォルテピアノと読むのではないですか?(あえてピアノフォルテと表記してるならすいません!) (2018年4月16日 14時) (レス) id: bfa0214c95 (このIDを非表示/違反報告)
久薙聖楠(プロフ) - アユラさん» ありがとうございます!!!頑張って書き続けていきます!!!(・д・ = ・д・) (2018年4月15日 15時) (レス) id: ae62bd0b5f (このIDを非表示/違反報告)
アユラ - メチャ面白くないすかこの小説...(°_°)ハマりましたよwこれからも更新頑張ってくだせぇなd( ̄  ̄)応援してますよ( *`ω´)ファイトだぜぇ!!w (2018年4月14日 23時) (レス) id: 22855408aa (このIDを非表示/違反報告)
久薙聖楠(プロフ) - 夢巫女さん» ありがとうございます!!!伏線張っていきたいと思いますが、張りすぎて先が読めたり「思ったより内容ショボいじゃねーか」とはならないように気をつけたいと思います(笑)今絶賛執筆途中ですのでもう少しだけお時間ください!!_( _´ω`)_ (2018年4月13日 22時) (レス) id: ae62bd0b5f (このIDを非表示/違反報告)
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