先輩重いっス[そらる]

ふわふわ ページ26

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「……ありがとうございました」



金儲けがほぼ無くて落ち込んだ声の店員さんに言われた心にもない感謝の言葉。


先輩の手には大量の紙袋……は無くて。


代わりに落ち着きのある青色のTシャツを着ていた。


そして私も、女性用の同じTシャツ。



「……やば、尊っ」



先輩がとてつもなく気持ち悪い。


尊いとか横にいる元カノに言うなよ。



「……周囲の目が痛い」



「ふふ」



「サラッと手を繋ぐな馬鹿、勘違いされるんスけど」



周りの人達がこっちをチラチラ見て噂してる。


ですよね、この歳でペアルック＆手を繋ぐはキツいわ。



「勘違いされて欲しいな」



「知ってます？一応私ら別れてるんスよ」



「だからよりを戻したいって言ってるんだよ？」



にっこりと笑って、私の頭を撫でる先輩の手を退けるけど、また撫でられる。



「……また、めんどくさい事に巻き込まれると思うんスけど」



「その時は、2人で逃げちゃおうよ」



あの(・・)ジジイから逃げるなんて出来る訳ない。


出来る訳ない筈なのに。



「先輩が言うと、出来そうな気がするのがムカつきます」



「ムカつかないでよ」



「無理ッスね、その顔で言われちゃ」



「え、どんな顔」



「……いつもは気だるそうなのに」



いつもは気だるそうなのに、私と居る時だけアホみたいに元気なのが、心底心がふわふわする。

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