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日も落ち、夢から覚める時はすぐそこに。楽しい時間はあっという間だ。
シンボルのお城が綺麗にライトアップされているのを背に、周りのお客さんは現実へのゲートへ吸い込まれていく。
「楽しかったねー」
「はい。こんなにはしゃいだの久しぶりです」
「あはは!私もだよ」
あー現実に戻りたくない、と愚痴をこぼす。
ふと、伊沢くんが立ち止まる。光によって綺麗に彩らたお城に魅入られたかのようだ。
「どうしたの?」
「…シンデレラが」
「うん?」
「シンデレラがガラスの靴のことを忘れていたら、どうしたんでしょうね」
「…ええと、王子はどうするかってこと?」
「はい。ガラスの靴に合う女性を見つけたとして、その女性がガラスの靴のことなんて忘れていたら、どうするんでしょう」
「…そんなことあるかな」
「もしもの話ですよ。もしも、彼女は12時までの魔法から解けて、そしたら記憶も解けて、ガラスの靴のことなんて忘れてて、ガラスの靴に執着してるのは自分だけで」
「…伊沢くん?」
彼はお城から私へと視線を移した。私を見ているようで、見ていない。そんな目だった。何かに怯え迷っているようでもあり、諦め悟っているようにも見える。まるで、広い世界にたった一人で放り出されてしまったかのような。
「…先輩。何か、少しだけでもいい。覚えて、ない?」
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あああ(プロフ) - しるふぃさんさん» こちらこそご拝読いただきありがとうございます!!お楽しみいただけたようでとっても嬉しいです!ありがとうございました! (2020年6月18日 22時) (レス) id: 5e26c4a7ae (このIDを非表示/違反報告)
しるふぃさん(プロフ) - あぁ…!こういうのが読みたかったんです!!ありがとうございます…!ありがとうございます…! (2020年6月15日 22時) (レス) id: dbc8d18dc4 (このIDを非表示/違反報告)
あああ(プロフ) - Frölunda さん» ご拝読ありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年6月1日 20時) (レス) id: fe2e5bcb5b (このIDを非表示/違反報告)
Frölunda - 最初の説明が英語だったから、英語で書かれた小説なのかなぁって思ったらめっちゃ感動した。しばらくはガラスの靴って聞くだけで泣けそう。すげぇ (2020年5月27日 20時) (レス) id: 86429bc0ce (このIDを非表示/違反報告)
あああ(プロフ) - ゆうかさん» 初めまして!最後まで読んでいただけて光栄です!お楽しみいただけたようでほっとしております…嬉しくなる感想をありがとうございました! (2020年5月25日 10時) (レス) id: e3106e5da9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あああ | 作成日時:2020年5月24日 1時