《カラ松》花と本音と忘れた頃に。3 ページ9
カラ松と晴れて結ばれたあの日から数ヶ月私は幸せに暮らしていた。あれからというものもう吐き気は来ず、ただ毎日が幸せいっぱいだった。
｢A、行くぞー｣
｢うん、ちょっと待ってね！今行くから！｣
革ジャンでぴしりとキメたカラ松が玄関先でまだかまだかと私を待っていたそれだけでこころが満たされる。鞄に必要なものを突っ込んで肩に引っさげた。
｢どこ、行くの｣
｢カラ松とデート！｣
｢ふーん｣
廊下のすれ違いざまにおそ松と出くわした。急いでいる私にとっては早めに切り上げたかったのだがおそ松はそれを許してはくれない。
｢なあ、A...幸せ？｣
｢当たり前じゃん!!おそ松のおかげでもあるよ、こうして今私が幸せなのは｣
そっか。と一瞬笑ったおそ松は何処か切なそうな表情をしたのだけれど気はカラ松にいっていて気付かず、いってきますと言葉を交わした後玄関へと走っていった。
｢そんなに走ったら危ないぞ｣
｢早くカラ松と出掛けたくて｣
｢ふっ、可愛い事を言ってくれる｣
大きな手が私の頭を包み込んで撫でた。あたたかくて自然と目が瞑られていく。陽だまりのようなあたたかさだ。
｢じゃあ俺達だけの世界へと足を踏み入れるとするか、my honey！｣
｢うん！｣
いつも歩いている通りが特別に見えて不思議だ。隣にこの人が居るだけで、こんなにも世界が変わるなんて。他愛の無い会話のキャッチボールをしながらぶらりと商店街を歩く。その時、ふとおそ松が言ったことを思い出した。
『...幸せ？』
幸せに決まってる。
でもなんだろうこの胸騒ぎは。
｢A？大丈夫か？｣
｢えっ、大丈夫大丈夫...｣
いけない。せっかくのデートなのにぼおっとしてしまった。気を取り直してカラ松の隣へと着いた。
｢疲れているようだから少し休憩にしよう、A｣
｢いいのに〜...でもありがとう｣
よく気が付いてくれる彼氏だなと嬉しくなりながら設置されているベンチに腰掛けた。カラ松は何か水分を買ってくると走っていってしまった。
｢はー、幸せだなあ｣
幸せな人間の呟きを空へとこぼしたその時だった。口に違和感を覚える。何か口の中にある。手でゆっくりと引っ張った。
ズルリ...
｢...なんで｣
それは目の前に広がる空と同じ色をした花弁だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 844人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百済(プロフ) - 皆様のコメント有難く読ませて頂いております…！亀更新ではありますが、よろしくお願いします！m(_ _)m (2018年1月28日 22時) (
レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - なける（ ｉ _ ｉ ） (2018年1月6日 21時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
朱華 - おおおおお!!!カラ松格好いいよ!! (2016年8月28日 12時) (レス) id: 24638162af (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - ユウさん» 全然大丈夫です！いくつでもどうぞ＾＾ (2016年4月8日 18時) (レス) id: 47be61fde2 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - リクエストしたいんですけど…今どれくらいリクエスト来ていますか？あまり多いと大変かと思って…落ち着いたらまたリクエストさせて頂きますけど… (2016年4月6日 22時) (レス) id: 21be5ef3c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：百済
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時：2016年4月2日 20時
