《カラ松》お嬢様気分。 ページ4
「ほら、そろそろ起きないか。A」
「んー、あと三時間...」
「長過ぎやしないか...起きないと目覚めのキッスを...」
揺さぶっても揺さぶっても起きるそぶりを見せないA。
いい加減に...とカラ松は小さなため息を付いた。
これで何度目のため息。だがこのため息の正体は幸せからきているものらしい。
彼女の可愛らしい寝顔を眺めながら松野カラ松は今日もにやけた口を抑えるのに大変そうだ。
だが時刻は昼過ぎ。もう起きないと体に悪いだろう。
そう考えたカラ松は彼女の耳元でそっと囁くのだ。
「お嬢様、そろそろ起きては下さりませんか。」
すると彼女は飛び起きた。
その空間に驚いた顔をする人間が二人。
異様な空間である。
「おはよう、随分と遅いお目覚めだ」
「おはよう...」
耳を抑えながらの朝の挨拶は昼過ぎに交わされた。
“おはよう”という言葉は何のためにあるのだ。
「何したの」
「愛を込めて囁いた」
納得いかない様子でAは耳元を擦る。まだ彼の声が脳内で残っている。
「さ、お嬢様。昼食の準備が出来ております、お着替えをお持ちいたしましたので...どうぞ。」
「あ、ありがとうございます...」
慣れないお嬢様呼びにくすぐったいような感覚を覚えながらAは着替えを受け取った。
心なしか顔が熱い気がしてならない。
「お嬢様、少し顔が赤いようで...熱でも?」
不意に彼の骨張った手がAの額を覆った。それと同時にぼふっとAの顔が真っ赤になる。
「ねえ、しっててやってんの!」
「さあ、どうでしょう」
にっこり笑顔のカラ松は今の状況を楽しんでいるようだ。こっちは心臓ばくばくして五月蝿いんだけど。なんて伝わるはずのないことを目で訴えつつ彼を睨みつけた。
「折角の可愛いお顔が台無しだ...」
しまったと腰を引いてももう遅い。顔に手が添えられ上を向かされればあてがわれる彼の口。
「調子乗ってんじゃねぇ!」
「いたっ!ちょっ...A、ごめ...!」
布団を彼に投げ、枕を投げる。半分やけくそ状態だった。散々暴れた挙句、カラ松とパジャマ姿のAは床に倒れ込む。
「執事っぽいのもいいけどやっぱそのままがいい。」
「A、そうやって突然素直になるのやめてくれ...」
今度は彼が真っ赤になる番だ。
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百済(プロフ) - 皆様のコメント有難く読ませて頂いております…!亀更新ではありますが、よろしくお願いします!m(_ _)m (2018年1月28日 22時) (レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - なける( i _ i ) (2018年1月6日 21時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
朱華 - おおおおお!!!カラ松格好いいよ!! (2016年8月28日 12時) (レス) id: 24638162af (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - ユウさん» 全然大丈夫です!いくつでもどうぞ^^ (2016年4月8日 18時) (レス) id: 47be61fde2 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - リクエストしたいんですけど…今どれくらいリクエスト来ていますか?あまり多いと大変かと思って…落ち着いたらまたリクエストさせて頂きますけど… (2016年4月6日 22時) (レス) id: 21be5ef3c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百済 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時:2016年4月2日 20時