《カラ松》君に誓いを。2【リクエスト】 ページ13
タキシードでキメた俺は牧師の前でそっと目を瞑っていた。牧師の後ろには十字架で縁取られたガラスが神々しく太陽の光を浴びながら光っている。
(手汗が...凄い。)
心臓の音も外に聞こえそうなくらいバクバク五月蝿い。そうして待っている間に教会の木製の入口が開かれた音がした。
こちらに足音が近付いてくる。大きく息を吸って振り返ればAの父親が涙で顔をぐしゃぐしゃにして彼女の手を取りながらこちらに向かっていた。
(Aの父親は怖かったなあ...)
『娘さんを僕に下さい』そんな言葉を言う日が来るとはおもっていなくて何度家の鏡の前で練習したか。その度に一松に蹴られていたっけ。
懐しくて心地良くて目頭が熱くなった。まだ、泣いちゃ、駄目だ。
Aが俺の前に来た。口から心臓が出そうなくらい脈拍数が上がる。
(変な顔はしていないだろうか...?もしかしたら...情けない顔をしているかもしれない。)
俺の不安が留まることを知らない。そこに蓋をしたのはAの声だった。
「カラ松くん」
大丈夫だよ、彼女は薄く輝きをもったベールの下で小さくそう言った。俺はなんでか、とても落ち着けた。
ゆっくりと二人で牧師に向かい立つ。すると柔らかな笑みを浮かべた牧師が使い古された本を手に持って口を開く。
よく耳にする誓いを尋ねる言葉。
「汝、松野カラ松は、この女、飯田Aを妻とし、良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「誓います」
彼女に同じ事を尋ね、Aは微笑んで「誓います」と告げた。
そうして牧師は「では、誓いのキスを」と静かな声で言った。
ベールに手を掛けてゆっくり後ろへかけてやるとAの照れくさい表情が顕になった。
おそ松もチョロ松も一松も十四松もトド松も、皆真剣に俺達を見守っていた。
一息ついてから俺は少ししゃがんでAに口付ける。
口を離して見つめ合えば恥ずかしくてお互いにはにかんだ。
「...幸せにする、A」
「ふふ、期待してる」
そう言って笑ったAの表情はまるで花が咲いたような優しい笑みで俺はこの笑顔を一緒忘れる事は無いだろう。そうして俺も幸せを噛み締めながらにっと笑った。
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百済(プロフ) - 皆様のコメント有難く読ませて頂いております…!亀更新ではありますが、よろしくお願いします!m(_ _)m (2018年1月28日 22時) (レス) id: fe9dde1d5a (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - なける( i _ i ) (2018年1月6日 21時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
朱華 - おおおおお!!!カラ松格好いいよ!! (2016年8月28日 12時) (レス) id: 24638162af (このIDを非表示/違反報告)
百済(プロフ) - ユウさん» 全然大丈夫です!いくつでもどうぞ^^ (2016年4月8日 18時) (レス) id: 47be61fde2 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - リクエストしたいんですけど…今どれくらいリクエスト来ていますか?あまり多いと大変かと思って…落ち着いたらまたリクエストさせて頂きますけど… (2016年4月6日 22時) (レス) id: 21be5ef3c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:百済 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/54efcae0b51/
作成日時:2016年4月2日 20時