【あんさんぶるスターズ】よろしくBROTHER

59.口下手 ページ12

そもそも、僕と先輩の出会いは、屋上だった。


引っ込み事案で、口下手な僕は、入学そうそう苦労していた。

クラスにいると、自分が孤独になっているのが強調されているみたいで苦しかった。





そんな僕が行った先が屋上。


でも、先客がいるのか、声が聞こえる。

ここにも人がいるのか…。




それでも、隅っこにでも、いさせてもらおう…。

と思いながら屋上のドアを開けると、





屋上の塀に手をつきながら、歌う少女がいた。

歌に夢中で僕に気づいてないのか、歌い続けている。


僕はドアを閉めて、ドアに寄りかかる。



彼女が歌う唄の歌詞は、とても直球で、心が打たれた。

弱い僕を慰めるような、直球な歌詞。

それについてくるのは、穏やかでありながら、力強いメロディ。



唄が終わったとき、思わず拍手をしてしまうような、素敵な歌い方だった。

拍手の音に驚いて、少女が振り向く。

色素の薄い黄色のふわふわの髪を揺らし、



ピンク色の可愛らしい瞳が僕を捉えていた。

ネクタイの色からして先輩だ。



『え、ぁ………。』

真っ赤になって身体を震えさせている。

ルカ「僕、入学…し、してきたばっかりの…つ、月永ルカ、です。

せ、先輩の歌！！にげ、元気もらい、ました…！！」


あぅ、こんな所でコミュニケーション力が無くなるなんて…。

『！…あ、ありがと…ぅ。』


先輩も引っ込み事案なのだろうか？

『わ、私は花房A。

ルカちゃんはい、一年生かな？』



ルカ「あ、はい！

でも僕、口下手で物事言えないです。

だから、クラスにいると辛くなるっていうか……。逃げてきたんです。」


こんな暗い話聞かせてどうするんだ！！

『私も。私も、口下手だからクラスにいるの、しんどいの。』

彼女の顔は穏やかに、少しだけ寂しく笑っていた。

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