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犬飼「Aちゃーん!」
ランク戦のロビーで対戦相手を探していると、犬飼先輩が左腕を大きく振りながら私の元へやってきた。
『…B級ランク戦お疲れ様です。』
犬飼「風の噂で聞いてたけど挨拶出来るようになったんだねぇ。偉い偉い。」
そう言いながら、私の頭を慣れた手つきで撫でる。
『先程のランク戦、流石B級1位という戦い方でした。』
私の発言に犬飼先輩は口角を上げる。
犬飼「本当?頑張ったかいがあって良かったよ。」
『…私は新星玉狛第二に期待してた…んだと思います。でも…期待と勝利は別物でした。』
その瞬間…
、
、
、
、
、
、
犬飼先輩の瞳から光が消えた。
犬飼「ふーん。」
いつもの笑顔、いつもの隊服、いつもの余裕。
…でも何かが冷たい。
犬飼「前まではおれを応援してくれてたのにね…。」
『っ…別に応援というわけでは。そもそも私はどの隊も応援したことはありません…。』
冷たい、冷たい、…嫌な冷たさだ。
『強者は…応援がなくとも勝ちますから…。』
犬飼「うんうん、そうだね。」
私は気がつけば犬飼先輩の目から逃げられなくなっていた。
私たちがまだ幼い頃、犬飼先輩に聞かれた質問を私は犬飼先輩にする。
犬飼先輩は驚いた反応をしたが、その表情はすぐに消えた。
…やっぱりいつもの犬飼先輩じゃない。
いや、私がただ甘えていただけ…?
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作者名:満月 | 作成日時:2023年2月19日 22時