集合 ページ3
「…………………ほんとに、色々ありました……」
敦は、そう、もう一度、溢した。
「おやおやー?こんな目出度い日に、辛気くさそうな顔をしてるのは、そこの君は、敦君かい?」
「太宰さん!」
ビール瓶と、お猪口を持って、敦と谷崎の前に立つのは、敦の恩人でもある太宰とその相棒、国木田だった。
「国木田さんも……」
「すまん、このバカを連れ出すのに、手間取ってな……ん?社長と乱歩さん、あと、女性陣は、まだのようだな」
そう、国木田が言ったときだった。
「待たせたな。」
「っ!社長!」
「社長。いえ、我々も今来たところです。」
ピシッと、姿勢をただす、国木田と、ヘラリと笑う太宰。
「そうか。乱歩が、りんご飴を食べたいと言って、聞かなくてな……買いにいかせたら、戻ってこなく、気になって見に行ったら……」
福沢の視線をたどると、すぐ近くで、両手にものを抱えて、モグモグと頬張り続ける、若干26歳の青年の姿が………
「引っ張って来たんだ。」
「お疲れ様です。社長」
「あぁ。ん?まだ、全員揃ってないようだな……」
「待たせたネェ。」
「私たちが、最後のよう。」
「お兄様〜!お待たせしましたわ」
「社長、お待たせしました。」
敦の背後から、声がした。
振り返ると、華やかに振り袖を着こなした女性陣がいた。
黒にも見える、深い紫紺の蝶がらの振り袖の与謝野。
華やかな水色と蒼の花柄の振り袖のナオミ。
淡い桃色のワンポイント、ワンポイントに小さな桜が施された振り袖の春野
そして、承和色の明るい振り袖を着こなした鏡花。
敦の視線に気づいたのか、鏡花が、とてとてと近寄ってきて、見上げる。
「似合う……?」
「………!とっても、似合うよ。鏡花ちゃんの好きな色だね。かわいいよ」
「敦君、女の子誉めるの慣れてないねぇ」
太宰が、からかうように、笑った。
「お前と違って、女慣れしてないからな」
「………慰めてるんですか?」
「?そうだが?」
「アッハハハ、国木田、それは慰めになってないよ?」
「む?そうなのか?」
「そうさ
ん?そういえば、賢治は?」
「あぁ、里帰りしてるから、パスだそうだ」
「なるほどね」
「ねぇ、そろそろいきませんか?混んできましたし」
ナオミの一言を、きっかけけに、一同は動き出した。
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作者名:蒼空 | 作成日時:2017年1月1日 0時