70小節目 ページ30
曲が進めば進むほど、思い出だけじゃなくてレオの気持ちも伝わってきた。でも、こんな事ってあるのだろうか。レオが私を好きだと言っているように聴こえてくる。そんなの自惚れに決まっている。9年の好きをこじらせているだけだ。そうだ、きっとそうに違いない。そう思っても押し寄せてくる感情に耐えられず、また別の意味で涙が止まらなくなってしまった。
そうだよ。私、レオのことが好きだよ。大好きなんだよ。ずっとずっと、そう思ってた。伝えてしまっていいのだろうか。伝えたところでその先はどうする。アイドルとプロデューサーの恋愛関係なんて認められるのか定かではないのに。そもそも、レオの気持ちの解釈が合っているのかもわからないのにいったい何を考えているのだろう。
曲を聴いている間に、私はたくさんのことを考えた。色々な感情が廻った。どれだけ拭っても溢れ出てくる涙は、結局最後の一音まで止まることはなかった。レオは歌い終わるとすぐ横に座っている私のほうに体を向け、泣きじゃくる私の頭を撫でながらこう言った。
レオ「その様子だとちゃんと伝わったみたいだな。よかった。だけど、ちゃんと言葉で伝えなくちゃな」
私の頭を撫でていた右手はいつの間にか私の左手を握っていて、前のめりになりながらこう続けた。
レオ「——A、愛してる。結婚しよう……！」
そう言うレオの頬は卒業式の時みたいに真っ赤に染まり、その様子は興奮して毛を逆立てている猫のように見えるけれど、目は真剣そのもので思いっきり見開かれていた。心なしか私の左手を握る手が震えているようにも感じる。その手はちょっぴり汗ばんでもいた。
A「な、んで、まだ付き合ってもいないのに、プロポーズなのよ……」
レオ「い、今まで付き合ってたようなものじゃんか。それに……。
Aと結婚できる方法を探すのに時間がかかったぶん、早くおまえと一緒になりたかったから……。他のやつに取られたら絶対に嫌だし」
ここまで想われているのに、自分だけ何も言わないわけにはいかない。私だってこの想いを大切にしてきたのだから。何度夢見たかわからないこの瞬間。私は意を決して自分の気持ちを伝え、プロポーズの返事をした。
A「レオ、私もあなたを愛してる。こんな私でよければ、レオの傍にいさせてください」
私の返事を聞いたレオは、一度目を見開いた後、目を瞑って唸りながら私に抱き着き「ありがとう!！」と、夜空に反響するほどの大声で言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明瞻(あけみ)(プロフ) - 名も無き読者さん» 長らく気が付かずすみません！ありがとうございます!!!!最後まで大切に大切に描いてゆきますので、どうぞよろしくお願いいたします！ (2022年2月9日 13時) (
レス) @page27 id: b0e4b10a69 (このIDを非表示/違反報告)
名も無き読者 - この作品大好きです！無理しない程度に頑張ってくださいね。続きが楽しみです (2022年1月27日 0時) (レス) @page26 id: 1a80ca11ab (このIDを非表示/違反報告)
明瞻(あけみ)(プロフ) - 奏さん» 8月30日！？全然気付かなくてすみませんでした！コメントありがとうございます！引き続き、この曲を楽しんで頂けると幸いです！ (2021年10月14日 22時) (レス) id: b0e4b10a69 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - とっても面白かったです！ (2021年8月30日 9時) (レス) id: 910795ccc3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：明瞻(あけみ) | 作成日時：2021年6月15日 13時
