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「大切なのは、皆さんをここから無事避難させることです」
「スネイプ先生はどこですか?」
スリザリンのテーブルから女子が叫んだ。
「スネイプ先生は、俗な言葉で言いますと、ずらかりました」
マクゴナガル教授の答えに、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクローの寮生たちから大歓声が上がった。
「城の周りには、すでに防御が施されています」
マクゴナガル教授が話し続けた。
「しかし、補強しないかぎり、あまり長くは持ち堪えられそうにもありません。ですから、皆さん、迅速かつ静かに移動するように。そして監督生の言うとおりに――」
マクゴナガル教授の最後の言葉は、大広間中に響き渡る別の声にかき消されてしまった。甲高い、冷たい、はっきりした声だった。どこから聞こえてくるのかはわからない。周囲の壁そのものから出てくるように思えた。かつてその声が呼び出したあの怪物のように、声の主は何世紀にもわたってそこに眠っていたかのようだった。
「おまえたちが、戦う準備をしているのはわかっている」
生徒の中から悲鳴が上がり、何人かは互いにすがりつきながら、声の出所はどこかと怯えて周りを見回していた。
「何をしようがむだなことだ。俺様には敵わぬ。おまえたちを殺したくはない。ホグワーツの教師に、俺様は多大な尊敬を払っているのだ。魔法族の血を流したくはない」
大広間が静まり返った。鼓膜を押しつける静けさ、四方の壁の中に封じ込めるには大きすぎる静けさだ。
「ハリー・ポッターを差し出せ」
再びヴォルデモートの声が言った。
「そうすれば、誰も傷つけはせぬ。ハリー・ポッターを、俺様に差し出せ。そうすれば、学校には手を出さぬ。ハリー・ポッターを差し出せ。そうすれば、おまえたちは報われる。真夜中、午前 0時まで待ってやる」
またしても、沈黙が全員を飲み込んだ。その場の顔という顔が振り向き、目という目がハリーに注がれた。ギラギラした何千本もの見えない光線が、ハリーをその場に釘づけにしているようだった。やがてスリザリンのテーブルから誰かが立ち上がり、震える腕を上げて叫んだ。
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ササミ - 素敵な作品をありがとうございます。この作品を楽しみに過ごしておりました😊キャラへの解像度が高く、この世界が存在すると錯覚するほど引き込まれました!難しい事は承知ではありますがr18の公開も心待ちにしております🙇♀️ (4月30日 23時) (レス) id: d357fa134f (このIDを非表示/違反報告)
名無し18156号(プロフ) - すごくすごく面白かったです!!このお話が日々の生き甲斐でした😭😭本当に素晴らしい作品をありがとうございます!! (2月16日 23時) (レス) @page50 id: 83faa383a3 (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - 初めて感想書きます!本当に面白かったです😭原作にリスペクトを感じるし後半なんてローリング先生が書いてる?!と思うくらいでした。R 18めちゃ楽しみにしてます!笑 (2月7日 22時) (レス) id: 0dcec4387c (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - urakr396さん» ありがとうございます!アワーッ過去作から……嬉しいです………ありがとうございます😭😭🙏更新頻度は年々落ちてしまっているのですが、頑張ります…🎶 (1月29日 7時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
鵲(プロフ) - Konono19さん» ありがとうございます…!!R18のほうはなかなか公開できずにいるのですが、たぶん…そのうち…!!!!😭こちらこそ、長いのに見てくださってありがとうございます🙏🙏 (1月29日 7時) (レス) id: 144fc818ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鵲 | 作成日時:2023年6月7日 23時