行く先は違えど。section.1【コードブルー】

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スタッフステーションの前で深呼吸して、いつも通りに入って行く。


黒田「少しは頭冷えたか」

「おー、もうバッチリ冷えたよ。悪かったな」

藍沢「あの、獅子島先生」

「藍沢も悪かったなー。よく考えたら、歯痛から血栓なんか予想出来ねぇもんな」


何か言いたげな藍沢を遮って謝る。「いえ」と言ってるその顔が、いつもより暗い気がしてポンポンと肩を叩く。


「オレも出来る限りの事はするからよ。そんな落ち込むなってー」

藍沢「落ち込んではいません。必ず挽回します」

「めっちゃタフじゃん。そういうの好きだぜ」

藍沢「西口さんは、獅子島先生の親族か何かですか？」

「え？なんで？」


突拍子もない質問。何か言いたげだったのは、もしかしてこれか。謝りにでも来たのかと思って遮ったのに、意味がなかったな。


藍沢「いつもと様子が違ったので」

「あー、そういう。全然。寧ろ、今日初めて会った」

藍沢「そうなんですか」

「なんか、尚更申し訳ないな。とりあえず、その辺は気にしなくていい。頑張って挽回しろよー」

藍沢「はい」


納得のいってない目。オレの様子が違った理由を知りたいのだろう。分かってはいたけど、敢えて分からない振りをした。過去の事だ。

黒田や西条にならともかく、他の奴にはあまり言いたくない。森本や三井ですら知らないのだから。



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