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「さぁ、本題と行こうか…」
レオ「その前にあんたの名前を教えてよ。なんて言ったらいいのさ」
「…教えてやりたいのは山々なんだが…」
歯切れが悪くもごもごと口ごもる男。
レオ「？」
「名前は無いんだ。なんて言ったらいいのか…。まぁ、色々あってな」
レオ「なんて呼んだらいいのさ…」
それでもやはり呼び名にはこだわりがあるのか、どうしても決めて欲しいらしいレオ。
「そうだな…先生とか、師匠とかは？これからお前に色々教え込もうと思ってさ」
レオ「…どっちかってと兄貴っぽいや」
「兄貴？笑笑」
レオ「うん。兄さんがいたことないからわからないけど、兄貴肌っぽい」
「…そうか。まぁ好きにしろ…」
レオ「あぁ！！兄貴」
今までに…いや、初めての笑顔に男も、本人のレオでさえも驚いていた。
兄貴「じゃあ俺戻るな。あと、明日休憩時間に稽古だから」
レオ「は？」
兄貴「んじゃ」
レオの反論を聞き流して部屋から出ていく。レオは痛む身体に鞭を打ち、布団へと潜り込み夜を迎えた。
次の日の朝。兄貴が「仕事だ」と起こしに来ることはなかった。
レオ「仕事か？」
不思議に思いながらも外に出ようと体を動かす。が、体は言うことを聞かず張っていくこともできなかった。
レオ「なんで…」
その時、扉が開く音がした。
兄貴「どうした？」
レオ「兄貴…遅い」
兄貴「あぁ。その事なんだが、主人から休暇をもらってきた。お前なら1日で動けるようになるだろ」
レオ「まぁ。…ありがと」
兄貴はあの後、主人のところに向かい怪我のことを掛け合った。獣子の血を引き継ぐ者を無闇に死なせるわけにもいかず、しぶしぶ首を縦に振った。
兄貴「取り敢えず今日は休息をとりつつ勉強と行こうか。どうせ学を知らないんだろ」
レオ「…うん」
暫く時間をおいて戻ってきた兄貴。その手には数冊の本と紙、書くものを乗せた木箱だった。
兄貴「これからはこれを机としてここで勉強する。1日が忙しくなるが根を上げるなよ」
レオ「うん」
兄貴「んじゃまぁ。飯食ったら始めよう」
レオ「わかった」
今度は食事を取りに行くために部屋を出て行った兄貴。すぐに2人分の食事を持って戻ってきた。
レオ「2人分？」
兄貴「あぁ。今日は主人、出てるからさ。お前に出来るだけ教えようと思って」
レオ「食事ぐらいできるぞ？」
兄貴「箸で？」
レオ「…箸？」
兄貴「…」
まずは日常生活からか…とため息をついた兄貴だった。
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作者名：あげのり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/raimu2/
作成日時：2019年5月16日 15時
