希望 ページ35
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貴「ぁ、んぅ、触らないで....!!」
鬼「だーって、君可愛いし、遊ぶには持ってこいだしー」
鬼は私の体につつ...と手を滑らせる。
貴「ひあっ!や、やめ....」
鬼「ふふ、そろそろ食べ頃?」
鬼はそう言うと、私の着物の襟をぐっと掴んで、顔を私の鎖骨に寄せた。
鬼「彼が来たとき、血濡れで他の男の痕付いてる君を見たら、どんな反応するかな...あ、目見えないんだったね。」
すると、鬼は私の鎖骨に吸い付いた。
貴「痛っ...」
鬼「ふふ、上出来。じゃ、食べるよ?」
鬼は私の肩に牙を突き立てた。
鬼「遺言...とかあったりする?」
貴「....行冥さんに会いたかった....。」
鬼はにや、と笑うと、牙に力を込めた。
プツ、という音と、肩から感じる焼けるような痛みが私を絶望へと追い込む。
その刹那
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バンッ!!
静寂を破るようにして戸が吹き飛ぶ。
私には聞きなれている、チャリチャリという鎖の音が響く。
?「.....嗚呼、醜い鬼め。南無阿弥陀仏....!」
鬼「えぇ〜?来るの早すぎるなぁ」
(もしかして.....)
私は涙で歪む視界の中に一つの希望を見つけた。
貴「行冥さん.....」
悲「遅くなって、すまない.....」
私が必死に助けを乞うた行冥さんだった。
鬼「目が見えない鬼殺隊....思い出したよ。君、柱だね?だからそんな力があるのか。」
悲「黙れ。これまで貴様程に鬼を憎んだことは無かったが、今日は絶対に貴様を許すことは出来ない。」
行冥さんは、そう言うと、目の前から消えた。
そして、私は何かに持ち上げられた。
悲「怖かっただろう。もう大丈夫だ。」
私はいつの間にか行冥さんに持ち上げられていた。
その時はいつになく、行冥さんの鼓動は凄まじく、私の頭にも響く程だった。
それに、酷い憎しみの念も感じる。
貴「行冥さん....わたし、」
悲「無理しなくて良い。今からこの鬼を断つ。」
鬼「断つ?へぇ、よく言うよ。僕はもうそろそろお暇しよう。じゃ、またねぇ!」
行冥さんは鬼を逃がすまいと鋼球を放つが、鬼に届く前に、ベベンと琵琶の音がして、鬼はふ、と消えた。
行き場を失った鋼球は家の柱に激突し、柱はミシミシと音を立てて折れた。
悲「.....すまない。私がついていながら...。」
貴「良いんです。行冥さんは悪くありません。」
悲「すまない.....本当に....」
私がいくら言っても、行冥さんの目から零れる涙は止まらなかった。
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るるちゃ - え、最高…。悲鳴嶼さんすこすこのすこたんなんだけど笑笑悲鳴嶼さんの夢小説少ないから完結していてありがたかったです!! (2020年12月1日 23時) (レス) id: b8364d44bb (このIDを非表示/違反報告)
ラヴァ(プロフ) - さなさん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!これからもどうぞ、宜しくお願いします♪南無阿弥陀仏..... (2020年4月18日 8時) (レス) id: 872177c79b (このIDを非表示/違反報告)
さな - 最高でした...。悲鳴嶼さんの夢小説が読めて幸せです!ありがとうございます...南無阿弥陀仏 (2020年4月18日 2時) (レス) id: daa05b1484 (このIDを非表示/違反報告)
ラヴァ(プロフ) - 星空 雫さん» コメントありがとうございます!この特異体質はいつか役に立つかも知れませんね...♪ (2020年3月5日 15時) (レス) id: 872177c79b (このIDを非表示/違反報告)
星空 雫 - まさかの夢主動物の声が聞こえる特異体質の持ち主とは!びっくりしました!更新お待ちしています! (2020年3月5日 15時) (レス) id: cfd7e474f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラヴァ | 作成日時:2020年2月10日 6時