第51話 ページ4
Aside
俺が落ち着くまで抱き締めてくれてた相良くんは俺を気にしながらも先に帰った。
俺は家に帰る気分になれなくて1人で病院に残った。
何度も深呼吸を繰り返し、そっと智司の病室へ入る。
『……っ!!』
病室のベッドに横たわる智司を見て絶句した。
頭や腕に血の滲んだ包帯が巻かれていて、目を閉じたままの智司に知らない内に涙が溢れてた。
誰よりも強いはずの智司をこんな目に遭わせたあいつらに恐怖を覚えたのと同時に、自分さえ居なければ智司はこんな事にならなかった、という思いに押し潰されそうになった。
きっとあいつらだって、発砲する勇気なんか無かっただろうに。
俺なんかの為に。
『…なんで……』
俺は堪え切れなくなって病室を飛び出した。
それから二度と病院へは行かなかった。
相良『…おい』
『相良くん』
相良『お前あれから1回も智司んとこ行ってねぇんだってな』
『…うん』
あれから2週間くらい経って、開久の溜まり場でいつも智司が座ってるソファーで1人ボーっとしていると相良くんがやって来た。
相良『……あいつ、目覚ましたってよ』
『ほんと…!?』
思わず立ち上がった俺は走り出したい気持ちを我慢してもう一度座った。
相良『…あ?』
『よ、良かった』
相良『行かねぇのかよ。智司、Aの顔見てぇんじゃねぇのか』
『……行かないよ』
相良『はぁ?なんで、』
『だってそんなの、どんな顔して会っていいか分かんない』
男達にやられる映像と病室のベッドに横たわる智司の映像がフラッシュバックして泣きそうになった。
『私のせいで傷付いた智司に、平気な顔して会えない』
相良『智司がんなこと気にする訳…』
『駄目なの!……私が、駄目なの』
相良『…お前のせいじゃねぇって何回言えば分かんだよ』
俺が泣きそうなのに気付いたからか、相良くんは納得のいかない顔をしながらも行った。
その時からきっと俺の覚悟は決まってた。
『…ごめんね、相良くん。ごめん、智司。
……ばいばい』
もう二度と戻る事の無いであろうその場所に、相良くんに、智司に、さよならを言った。
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香月なる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ、ご指摘ありがとうございます!一応見返してるのですが結構間違えてるものですね…。また気付いた事があれば教えて頂けると嬉しいです。早く更新できるように頑張ります! (2020年3月22日 11時) (レス) id: 4194bddbe5 (このIDを非表示/違反報告)
美雨 - またまた続けてのコメントですみません。 物語パート1 〜一気に読んじゃいました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 沢山の直しを言ってしまいすみませんでした...。 (2020年3月22日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
美雨 - また続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 第68話のここの部分 やべやべ、ちょっと色々混乱してデカ目の独り言喋っちゃった。 (2020年3月22日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
美雨 - 続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 第66話のここの部分 倉庫の中に明久の奴らに捕まってる今井が見えた。 これ正しくは開久ではないんでしょうか? (2020年3月22日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
美雨 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 第56話のここの台詞 『伊藤ちゃん顔赤いわよ?』 これ台詞の前の名前抜けてませんか? (2020年3月22日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:香月なる | 作成日時:2019年8月7日 22時