38 おんなじだから ページ39
クラスに行けばほとんどの生徒は席に座っていた。
そしてそれに酷く違和感を覚える。
恐る恐る教室に入った私になど目もくれず、教室の殆どの視線はただ一人、明星くんに向いているのだ。
彼の側に遊木くんの姿は見当たらない。
教室を見回しても氷鷹くんや神崎くん、乙狩くんの姿すらない。
…こんな時にというよりは、こんな時だからなのだろうか。クラス全体の悪意が目に見えていた。
革命を起こした。
それは良くも悪くも影響を与える。
元々fineについていた生徒は多かったし、革命が終わった今でも熱狂的な人は大勢いる。それならばTricksterに嫌悪を抱く人は嫌でも出てくるし、元々浮いていた明星くんは特に的になりやすい。
あちらこちらから噂話が聞こえてくる。
「空気が読めない」「疲れる」「突っ走りすぎ」
どれも噂話にしては声が大きくて、態とそうしているようにすら聞こえて。…たとえそれが全員の声ではなくとも、それを止める人もいないこの現状。
明星くんはたった一人、教室の隅の席に座っていた。
…あぁ、一年前と全く同じだ。
気付けば彼の手を取って教室を飛び出していた。
振り払われそうになるのを必死で掴む。
ごめんね、でも早くここから離れる為だから。
そう心の中で唱えたけれど、結局は私が彼をこれ以上この場に居させたくなかっただけで。
人目のつかない階段に差し掛かった時、ぐいと後ろから引っ張られ、反動に少し蹌踉めく。どうしたのかと振り向けば、彼は私の腕を掴んだまま俯いていた。
「…なんで、余計なこと」
小さく震えた声だった。
…あぁ、同じ台詞をいつかどこかで聞いた気がする。
「酷い顔をしてたから」と答えても、彼は何も返してくれない。
それは私の言葉を信じていないようで、きっと、本当の理由なんてわかっているんだろう。
気付けば身体が勝手に動いていたのだ。
手を取った一瞬、一年前と同じ彼の泣きそうな表情が見えたから、あの時と同じように手を引いて走っていた。
「もう、無理しないで」
それはどこかで聞いた言い回し。
今ならあの時の凛月くんの気持ちがわかる気がする。
無意識に彼を抱き締め、自分がされたように背中を擦れば、彼はされるがままただじっと動かずにいた。
「…私、明星くんのいい所いっぱい知ってるよ」
彼は黙ったままだ。
けれどもきっと話は聞いていてくれると信じ、一人話し掛ける。
39 全部私のせいだから→←37 背中を押された気がしたから
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
