アクアリウムの中で (ページ5)

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"open"と書かれたプレートがかかった扉の前に2人で立つ。
思った以上に大人っぽい雰囲気の外観であるそれに、わたしはどきどきと心臓が高鳴っていた。

隣の同級生の彼は、そんなこと気にも留めないかのように、扉を開いた。

＿ちりん

心地よいドアベルの音が鳴った。

「いらっしゃいませ。」

洒落たバーのような内装に、店内で流れるジャズミュージック。音楽については知識が足りてないため、これがジャズなのかは定かではないが。

「2名様でよろしいでしょうか。」

隣では帽子を被った背の高いスタッフと彼が事務的会話を交わしていた。
すぐ近くで話しているのに、彼らの声はわたしの耳にはうっすらとしか聞こえなかった。

「……………！！」

代わりに、わたしの心臓がどくどく拍動する音を感じた。
さっきの寮を見たときの感動とは比べ物にならない。

痛いほど鳴る心臓に、興奮で首や耳まで真っ赤になった顔、ぽかんと開いた口。

ああ、やばい。今たぶん、わたし相当間抜けな顔してる。

モストロラウンジへ入店してたった一歩。
店の壁一帯のガラスの向こう側には、息を呑むほど美しい海が広がっていた。

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