20、女の子って ページ21
「よし、やろう。僕、力を貸すよ」
小塚がうなずいて、言った。
「まあね。少しは面白いかもな」
黒木は、ちょっとわらって上杉を見た。
「俺の勉強時間を必ず確保するって、約束するんなら、考えてもいいけど」
そう言って、上杉は私を見た。
……え、どうしろと。
「……」
「……」
「……」
「……仕方がないなぁ。やればいいんでしょ。その代わり、危なくなったらちゃんと考え直せよ」
「もちろん、約束するさ。勉強時間だって、昨日ちゃんと守っただろ」
若武の性格が、これでどうにかなるんだったらやってもいいかな。
黒木も上杉も、頷いちゃったし。
それに、上杉に無言の圧をかけられたし。
若武は、機嫌よく答えると、みんなを見回した。
「反対者は?」
彩ちゃんは、まだ何も言っていない。
反対なんだろうな、きっと。彩ちゃんって、すんごい真面目さんだから、こういうのも、危ないって思っているから賛成しない。
彩ちゃん可愛いなぁ。女の子らしいし、可愛いし。私的には、この子を危険な目に合わせたくないって言うのが一番かな。
「立花、嫌なのか?」
若武が、彩ちゃんに言った。
「なんでだよ」
その声は、不満そうだった。
しばらく沈黙が続いた。
そのうち、小塚が口を開いた。
「若武、可愛そうだよ」
「立花は女の子なんだから、俺たちと一緒にやれないことだってあるさ」
その理屈でいくと、私に…やるよな?オーラを出てきた上杉は、私を女の子と思っていないことになるね。
……つか、女の子だから、男の子だから、っていうのは違う。価値観が一人一人違って、おかしいことなんてひとつもない。
「立花がどうするかは、立花の自由だ。若武、責めるなよ。立花のことは、立花にまかせるんだ」
上杉が言った。
確かにそうなのかもしれない。
でも、ここまで来たら最後まで、みんなで頑張りたいじゃん。
彩ちゃんだって、きっと悩んでる。
自分がどうしたらいいのか。
若武は、不機嫌そうに顔を背け、少し乱暴に言った。
「だから女って、やだよな」
カチンときた。
「女で悪かったですね」
私は、若武にそう言うと、彩ちゃんの方へ足を向けた。
「彩ちゃん、こいつらの言ったこと、気にしなくていいよ。私は、彩ちゃんと一緒に、最後までやりたいと思ってる。彩ちゃんを危険な目に合わせないように、私は頑張る。どうするのかは、彩ちゃんが決めるべき。そして、その意見を私達は、ちゃんと受け止めるべき」
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作者名:つばくらめ | 作成日時:2019年4月22日 20時