失言 ページ19
土「うるっせェ!聞こえてんだよ!」
「だって土方さんが無視するので」
土「俺ァ礼言われることなんざ何もやってねェんだよ」
「私はそうは思いません。土方さんのおかげで今生きてるんです」
本当に本当に感謝しています。この御恩は忘れません。彼の瞳を真っ直ぐに見つめて伝えれば顔に紫煙を吹きかけられる。
「うわっ!何するんですか!」
咳き込みながら顔の前で手をひらひらと動かしていると、土方さんは私の頬から手を離してさっさと歩いて行ってしまう。
さっきは私のために煙草吸うの辞めたのに、今度は顔に煙吹かれるなんて。本当によくわからない人だ。
しばらく土方さんの横に並び歩いていると、不思議なものを見つける。
白い渦巻き状の物が乗ってて、果物も沢山乗ってて、美味しそうだ。
「土方さん土方さん」
土「なんだ?」
「あれ何ですか?」
ショーケースに入っているそれを指せば彼は眉をひそめた。
土「ありゃパフェだ」
「へぇ〜。パフェ。なんか間抜けな名前ですね」
土「好き好んで食うのも間抜けな奴ばっかだ」
なんて言ってる。めちゃくちゃ顔険しいし。どうしたの?
「パフェお嫌いなんですか?」
土「いや、嫌いな奴がパフェ好きなだけだ」
何その理由。可笑しくて吹き出せば彼は煙草を地に落とし、踏み付けた。
土「食いに行くか」
「いえ、お構いなく」
土「俺が腹減ったんだ。行くぞ」
そう言って左手首を掴まれ、人生初のファミレスという場所に足を踏み入れる。
注文を済まし、料理の到着を待つ間土方さんから質問攻めが始まった。
土「前の屋敷にいた時ゃ外出れなかったのか?」
「外出禁止ってルールがあった訳じゃないですけどね。
毎日忙しすぎて外出る暇もなかったというか…」
土「そんな忙しかったのか」
「屋敷が無駄に広かったですから。それに家政婦雇う人件費削減に10人分の世話してましたよ。継母が厄介な人で毎日ケチつけられてましてよ」
土「性悪な継母の元で扱き使われるってお前ェはシンデレラか」
「あははっシンデレラ。それいいですね。
おとぎ話じゃ王子様に拾われて幸せになりますもんね。
私からすれば土方さんは王子様ですね」
私の言葉を聞いた彼は大きく目を見開いた。
私を拾ってくれた人、そういう意味で言ったつもりだったのに…
やばい。今めちゃくちゃ大胆なことを言ってしまった。
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氏兎(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!嬉しすぎます😭💗土方さんの思いはPart2で深堀しようかなと思ってます😏楽しんで頂けるように引き続き頑張りますー!応援ありがとうございます!!! (6月4日 21時) (レス) id: 7d17cb3f22 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼しまあっす!!!!コメントは残してなかったんですけど、結構前から見させていただいてました‼いい展開になってきて最高です!土方さんの思いが気になるなあ、、。応援してます!!!これからも更新頑張ってください‼ (6月3日 16時) (レス) @page43 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氏兎 | 作成日時:2023年4月9日 23時