一 石 二 鳥 彼 氏 【坂田銀時】

一石三十七鳥 ページ38

# Side G



銀「おーい、Aチャン？」

「…。」

銀「寝ちまった…。」



やけに静かだと思ったら泣き疲れて眠っちまったらしい。


銀「よいしょっと。」


Aを抱き上げてベッドへと移し、そっと枕に頭を置いて掛け布団をかける。


まだ涙が残る頬や目元に親指を滑らせてその水滴を拭い取る。


その流れで右手を頬に添えて…顔を近づけてしまう。

あと数センチで唇同士がくっつきそうな距離まで。



銀「…っ。いやいやなにやってんの。俺。」



理性に呼び戻され、何とか正常な判断を下すことが出来た。

そのままベッドのそばを離れて、足早に家を後にする。



銀「危なかったァ…。」



なんかさっき、アレだ。
守りてェとか、可愛いとか、そんな感情が溢れちまった。

昨日で一気に距離が縮まった気がして、何故だかそれが嬉しくて嬉しくて堪らねぇ。

やっとAの方から触れてくれるようになったし、俺が触れると嬉しそうに笑ってるのが満たされて仕方ねぇ。


苦しそうに過去を話すAのことを思い出すと胸が痛むが…
それ以上に守ってやらねぇとって覚悟が強くなる。

きっかけは金で雇われた身だが、今はそんなもの関係なく守りてェって強く思う。


なーんてクセェこと考えながら帰路に着くのだった。

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