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一石三十六鳥 ページ37

「隙を着いて自分の家に逃げ帰ったの。案の定、優しい彼氏のフリして迎えに来たけど、母さんに居留守貫いてもらって追い返してた。

その後も何度か来たけど、私のその時の様子みてこの男と揉めてるって察してくれたのか母さんはずっと居留守を使ってくれた。

そしたら実家にまで嫌がらせが始まって、玄関先にゴミぶちまけられてたり、無言電話なったり…。

親に迷惑がかかるのは申し訳ないから理由を付けて地元を離れて一人暮らしを始めたの。

彼奴から解放されてしばらく経ったある日、夜道で口を抑えられて路地裏に連れ込まれた。」



さっき起こったことと全く同じことが3年前に起きている。

それを聞いたからか「そうか…。」と銀さんはため息混じりに小さな相槌をうった。

これ以上聞かれて嫌われたらどうしよう、なんて考えてしまって次を話すのに躊躇っていると、大丈夫だから。と力強い声が聞こえてくる。

何も言ってないのに、また、察してくれた。



銀「Aがどんな目に合ってても嫌いになんかなりゃしねェよ。
安心しろ。」

「っ…。それから解放されたのは1時間経ってからだった。
大事にしたくなかったし親に迷惑かけたくなくて警察にも通報せずにそのまま逃げるようにかぶき町に引っ越して来たの。
それで男性不信になったし、触られるのが大っ嫌いになった。」



一通り話し終えた辺りで私の顔は涙でぐちゃぐちゃになってるし、私が顔をうずめていた銀さんの左肩も濡れてしまっている。



銀「辛かったな。よく頑張ったな。」

「辛かった。死にたいって何回も思った。」

銀「話してくれてありがとうな。」

「私こそ…聞いてくれてありがとう…。」

銀「これからは大丈夫だから。俺がそんな事思わせやしねェ。」



初めて誰かにちゃんと話した。

こんな優しくて力強い言葉が初めてで、
安心感からまた涙が溢れてきちゃう。



銀「今日、守ってやれなくてすまなかった。」



一段と腕に力がこもり、私の肩に顔をうずめているようだ。

彼の背中に回した手に力を入れる。



「銀さんは十分守ってくれたよ。いつも守ってくれてる。」


銀「これからは俺が守ってやっからよ、絶対大丈夫だ。
二度とそんな目に合わせやしねぇよ。

だから…安心して泣いとけ。」



その言葉に私の涙腺は完全に壊れてしまったようで、涙が止まらなくなった。


いつまで経っても泣き止まない私の背中を、彼はいつまでもさすってくれた。

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氏兎(プロフ) - まゆゆんさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(TT)頑張りますー!! (2022年9月24日 1時) (レス) id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)
氏兎(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます!!嬉しいです!!頑張ります(^-^) (2022年9月24日 1時) (レス) @page32 id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - このお話大好きです!!!!!!更新頑張ってください!応援しています🥰 (2022年9月20日 18時) (レス) @page31 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 面白い!!更新頑張って下さいね!!!!!!! (2022年9月19日 20時) (レス) @page31 id: 0e3bc286c0 (このIDを非表示/違反報告)
氏兎(プロフ) - 夢子さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです!もっと楽しんで貰えるように更新頑張ります(^-^) (2022年9月10日 17時) (レス) id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氏兎 | 作成日時:2022年7月25日 0時

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