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一石二六鳥 ページ27

荷物を持っていない方の手首を突然掴まれたのだ。



「っ やだっ…!」



振り払おうとするけど、彼は力を緩めてくれない。

辞めてほしい。怖い。



銀「A。なんで俺に怯えてんだ?」

「別に怯えてない離して下さい」



男に触られているのがどうしてもダメだ。

ゴツゴツして硬い 骨張った手が、どうしようもなく怖い。



銀「なら何で、そんな辛そうなツラしてんだ。」

「太陽が眩しくて目開けられないだけ。」

銀「嘘つけ。もう日落ちてるじゃねえか。」



はぁ…。と小さく溜め息を吐いて、彼は手を離してくれた。

無意識に握られていた手首を咄嗟に服で拭いてしまう。

すごく失礼なことをしてしまった。



「あっ、ごめんなさい。」

銀「…別に構わねぇよ。怖がらせちまったみてぇですまねぇな。」

「銀さんは悪くない…私が…」

銀「お前さんは悪かねぇよ。」



何か事情があんだろ。
そう言って彼は先に歩き出した。

悲しい声色をしていた。傷つけてしまった。

彼が今どんな表情をしているのか、
私には知る資格なんてないと思った。

あれから会話はなく、原付で送って貰って今は玄関扉の前に立っている。

死ぬほど気まづい。

目を合わせるなんてことは出来なくて、地面と睨めっこしか出来ない。



「…今日、ありがと。
こんなことまで付き合わしちゃってごめんね。」

銀「気にすんな。30万円のためだ。」



いつも、冗談で言ってくること。

なのにやけに冷たく感じた。



「…本当にごめんなさい。じゃあね。」



ろくな返事もせずに急いで家の中に入った。

玄関ドアに背中をつけて、そのまま座り込んでしまう。

部屋の前から離れていく足音が虚しく耳に響く。



私が、男の人が苦手じゃなかったら、

こんなことにならなかったのに。



銀さんのこと、嫌いじゃないのに、

咄嗟に反応してしまった自分に腹が立つ。
悲しくなる。虚しくなる。



「最っ悪だ。」



一瞬だけ見えた彼の悲しい横顔が、脳裏に焼き付いて離れなくなっていた。

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氏兎(プロフ) - まゆゆんさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(TT)頑張りますー!! (2022年9月24日 1時) (レス) id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)
氏兎(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます!!嬉しいです!!頑張ります(^-^) (2022年9月24日 1時) (レス) @page32 id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - このお話大好きです!!!!!!更新頑張ってください!応援しています🥰 (2022年9月20日 18時) (レス) @page31 id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 面白い!!更新頑張って下さいね!!!!!!! (2022年9月19日 20時) (レス) @page31 id: 0e3bc286c0 (このIDを非表示/違反報告)
氏兎(プロフ) - 夢子さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです!もっと楽しんで貰えるように更新頑張ります(^-^) (2022年9月10日 17時) (レス) id: 6006d7194f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氏兎 | 作成日時:2022年7月25日 0時

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