【番外編】弟が見てて思い付いた ページ7
九川重ノ神こと惺蓮から名字を取ったんだろうなぁ、とぼんやり考える。
焔、なんだかんだ言って惺蓮大好きかよ。
私は二人とも大好きだぞ。
安室「おや。良いんですか？名前を言ってしまっても？」
焔「当たり前だろ？本来、「誰にも本名を名乗るな」なんつー規律はねえよ。
けど、あいつら…あー、上官みてぇな奴らとコイツはソリが合わなくてな。
こーゆー状況に陥った時に真っ先に疑われてしまえっつー嫌がらせだよ」
A「マジか」
嫌がらせなのかよ、と口の中で呟く。
だが、よく考えてみれば当たり前だ。
審神者っていうのは色んな時代の人間がいて、仕事によっては自分のいた時代に飛ぶ。
そうすれば、家族やらなんやらに会う可能性だって少なくない。
その状況で名を名乗るな？無理だ。
名乗らずとも、あっちは名前を知ってるんだから…。
A「じゃー名乗ろ。九重A」
五十嵐の姓を名乗るのが嫌で、昔の、九重の姓を名乗る。
……まあ、計画通りにいけば近いうちに九重家に戻ることができるはずだから、セーフで。
アッサリ自己紹介した私が意外だったのか、刑事や私立探偵のみならず、一緒に来てたみんなさえも瞠目する。
仕方ないじゃん。
焔が目線で名乗れって言って来るんだから。
安室「そうでしたか…立ち入ったことを聞いてしまってすみません。
ところで、他の皆さんのお名前をお聞きしてもよろしいですか？」
薬研「粟田口薬研だ」
厚「粟田口厚」
乱「粟田口乱だよ」
村正「村井
行安「波平行安と申します」
不動「……不動、行光」
名乗らねば貴様らは容疑者だ。
そう言わんばかりの視線に気付いたのだろうみんなが、予め決めておいた偽名を名乗る。
こう聞くと、珍しいけど本当にいそうな名前だよね。
肩を竦めた薬研の隣で探るような目つきで私立探偵を見る厚に、不機嫌そうな顔で名乗る乱、心底興味がないと言うような村正に、敵意を笑顔で隠した行安、そして私の……正確には焔の陰に隠れて名乗るゆきちゃん。
え、ゆきちゃんぎゃんかわ。
その女子力、少し分けてくれない？
安室「…被害者はこのビルで働くサラリーマンで、死亡推定時刻は午後1時から午後3時半、死因は頭部に殴られたような痕があることから、何か硬いもので殴られたと考えられます。
その時間、皆さんはどこで何をしていましたか？」
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