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第十五話「妹」 ページ15

「と、いうお話です。楽しんでもらえました?」

「……一瞬、死んじまったのかと思って焦っただろ…!?つか、幻太郎にそんな経験があったのかよ」

「あ、それは嘘ですよ。作り話です」

「嘘かよ!!感心しちまっただろうが!」

「麻呂が実話など言うはずが無かろう?」


最後の最後まで帝統は一喜一憂しながら、話を聞いてくれた。

感情豊かで、話していて面白い。


「でもありがとよ!良い暇潰しになったわ」

「小生も楽しかったですよ」


帝統は、騒がしい足取りで賭場へと走り出した。

まぁ、ちょっとした暇潰しだったので。


「……それで、乱数はまだここに?」


話しかけるも、乱数は無言。

そういえば、乱数は小生が話を始めてからずっと何かを考え込んでいる。

こんなのは初めてだ。


「乱数?どうかされましたか?」

「……ねぇ幻太郎。その少女が退院した、なんて嘘だよね。っていうかそんな少女、存在しなかったんじゃない?」

「だから、これは作り話だと…」

「この件で、俺に嘘を吐くのは止めろ」


息を飲んだ。


以前も見た、人間らしい乱数だ。


「そうですね。最後の最後に嘘は吐きましたが、それ以外は全部本当の話です。あなたの言う通り、彼女は存在しない。幽霊だったんですよ」


これは夢でも幻でも無い。

本当の話だ。


「やっぱり、当たり前だよね。427号室のその少女が、幻太郎が高校三年生の時に生きているわけがないから」


その後の言葉が何を発するか、小生には分かってしまった。

だから、強く拳を握り締めた。


「だってその少女は、妹は、幻太郎が会う二年も前に俺が殺したんだからさ」


彼女の最後のデタラメを嘘にするために。

第最終話「名前」→←第十四話「恋のシナリオ」



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設定タグ:ヒプノシスマイク , 夢野幻太郎   
作品ジャンル:恋愛
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黒羽ひみと(プロフ) - いじいじさん» 初めまして!神です!(嘘ですよ) 読んでいただきありがとうございます♪ (2020年10月5日 1時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
いじいじ - えぇ…神ぃ……? (2020年10月1日 12時) (レス) id: 071f62e8cb (このIDを非表示/違反報告)
そまそまりつりつ(プロフ) - 黒羽ひみとさん» まじですか?あの駄作を…神ですね。こちらこそこんな素敵な小説を読ませて戴いてありがとうございます (2019年7月23日 23時) (レス) id: 179de70c1e (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - そまそまりつりつさん» コメントありがとうございます!そまそまりつりつさんの作品最近見たので、テンション上がりました!途中、寒気や突然現れたり消えたりの描写があるので、怖いかも?と思い、一応ホラーにしました。儚さもありますね。読んでくださりありがとうございました! (2019年7月23日 23時) (レス) id: 11b0ce94e5 (このIDを非表示/違反報告)
そまそまりつりつ(プロフ) - 解説を読む進める度に「はぁ…」と納得のため息を漏らし過ぎて親にうるさいと言われましたw俺個人の意見ですがホラーと言うより、儚い物語のようにも思えました。とても面白かったです。 (2019年6月28日 23時) (レス) id: 179de70c1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒羽ひみと | 作成日時:2018年8月3日 12時

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