【ヒプマイ】アシスタントデザイナーの彼女は１【飴村乱数】

アシスタント４４ ページ46

目の前に現れた建物に首を傾げる。



『旅館……？』

「そ！いい雰囲気でしょ〜」



それはもちろん良い雰囲気だ。


大好きな風景と言っても過言じゃない。

掛けられた橋には蓮の葉が乗ってるし、近くの木は真っ赤に染まってる。


ただ、てっきり乱数ならホテルを予約するものだと思っていた……だけで。



「じゃあ入ろっか」



……私が和が好きって言ったから？


それとも温泉が目的かな。

こ、混浴……とか。

あるかは分からないけど。


あっ……でも。



「ん？どうしたの？A」



振り返る乱数と旅館をバックに想像してしまう。

温泉から出たあとは、浴衣に着替えるものだから。


だから……乱数の。



『い、いえ……なんでもない』

「？」

『本当に！何でもないから！』



何を想像してるんだろ。


確かに着物は好きだけど、乱数に似合うのはポップな服装だと思う。

乱数自身、それが分かってるから普段ああいう可愛いの着てるんだろうし。


……で、でも。

服の力はすごい、からね。

浴衣着た乱数、とか……雰囲気変わるのかな。



……気になるな。



『乱数』

「ん、なぁに？」

『あ……こ、ここって、温泉……あるの？』



「______うん、あるよ」

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