04.十分な警戒 ページ4
「主様がこれから勤める本丸は、こちらのゲートから入れます」
地面に丸く描かれた紋様が見えて、こんのすけは立ち止まった。
それぞれの本丸で違う紋様を持つ、ゲート。このゲートに入れば、あとは一瞬で本丸の敷地内に入ることになる。
私は黙って頷いて、これから出会う
――なんてことを考えながら、ゲートを通り抜けた。
瞬間、鼻を閉じ目を見張った。
……酷い異臭だった。それに空気も悪い。写真で見た以上に目も当てられない惨状と化している。
建物はもちろん、畑も荒れ果て空は真っ黒な雲が覆っている。嫌な気配もところかしこに漂っていた。
「……」
そんな空気を前に、一人覚悟を決め、砂利が引かれていただろう道を歩く。
真っ直ぐ、玄関に向かって。
「主様お待ちください!そんなにスイスイ歩かれては困ります!」
「?なんで」
慌ただしい静止の声に足を止めた。
こんのすけは呼吸を整えて、警戒しながら辺りを見渡す。
「なんでではありませんよ!いつ何が襲ってくるとも限りません、十分警戒してください!」
「警戒してますけど……」
「え?」
それで?という顔をされ、思わず眉を顰めた。
こんな怪しい本丸に就任させられたのだから、警戒しないわけがない。
けれど今こちらに警戒した方がいいほどの殺気を忍ばせているのは"一振り"で、今のところ襲ってくる気配はない。
ただ私の様子を静かに窺っているという雰囲気だ。
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黒羽ひみと(プロフ) - 黒無さん» お褒めの言葉ありがとうございます!更新は今しばらくお待ちくださいませ! (2020年9月26日 14時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
黒羽ひみと(プロフ) - waterさん» ありがとうございます。更新止まってしまいすみません!時間ができ次第再開します。 (2020年9月26日 14時) (レス) id: 451dd01b35 (このIDを非表示/違反報告)
黒無(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます!更新待ってます!! (2020年9月24日 12時) (レス) id: 2b98e9a281 (このIDを非表示/違反報告)
water(プロフ) - 面白い。いい作品に会えて良かったです。更新待ってます。 (2020年9月24日 12時) (レス) id: e941bacba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒羽ひみと | 作成日時:2020年8月23日 12時