無限の未来 15th season (ページ23)

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723話ページ23

【樹】

初めての、単独コンサート。

単独でも何度だってライブは積み重ねてきた。

その全てを、今できる俺たちの最高級を詰め合わせたコンサートにする。

青「楽しみ？」

「楽しみ半分、緊張半分。だって今回、初めてちゃんと構成に関わらせてもらったし…規模も違うし」

青「自信持っていこ。明日、ジャニーさんと滝沢くんきてくれるみたいだし」

「え、聞いてない。なんで言わんのよ～」

俺もさっき知ったばっかなんだけど、Aの緊張を煽っただけになったかもしれない。

ごめん、ごめんって笑いながら言えば、笑い事じゃないよって言うけど、そういうAも、ちょっと笑ってるんだ。

最終のリハーサルを前に、楽屋でくつろぐAの姿が、いつまで持つことやらって、メンバーは笑っていた。

緑「ケータリング行く人～」

「いや、リハ後にしようよ。出るよ？」

黄「女の子がそういうこと言わないの」

「はぁ～い」

俺たちの、作り上げるステージ。

最後の最後まで、貯められる限りを詰め込んでいく。

それぞれ挨拶に来てくれるJr.の子たちにも指示を出したり、少し前まで、人見知りの塊で話すことも躊躇っていたAの大成長。

「樹くん…A、ちょっと楽屋戻るね」

青「っと。副作用出てきた感じ…？」

「ん。緊張してきたんかな。そんなに酷くないけど…本番、しんどくなったら困るし」

青「おっけ。Aの確認必要なところは終わってるし、先戻っておきな」

副作用で、ちょっとだけしんどくなっているのか、朝よりは少しだけ顔色が悪い。

本番前の緊張も重なって、このぐらいの不調はよくあること。

先に楽屋に戻せば、俺たちが戻る頃にはぐっすり眠っているA。

黒「寝かしておこうか。…うん、脈は戻ってる」

「んっ…」

青「寝てな。調整、終わったから。今日2公演あるし」

公演中に副作用が出ないように、先生と念入りに打ち合わせをして臨んでいるツアー。

思ってたよりちょっと早めに副作用出てきちゃったけど、酷くならずに済んでるし、体も、気持ちも、徐々に本番モード。

このツアーで、俺たちの未来が少しずつ動き始めることを、俺たちはまだ知らなかった。