無限の未来 4th season (ページ5)

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155話ページ5

【ジェシー】

ありがたいことに、仕事に切れ目がなくて、まだ高校生のJr.にしてはそこそこ忙しい時期が続いていた。

今も、ドラマ撮影の真っ最中。

しかも、今回のドラマは事務所の大先輩である木村さんとの共演というプレッシャーも重なっているから、普段とは余計に違う感じもしていた。

だからか、他の要因かはわからないけど、最近になって、仕事をそんなに楽しいと思えなくなっていた。

ただ、こなすだけ。こなして、やり過ごすだけ…。

…ほんとは、自分でもその理由には気づいていたけど、そこに目を向ける勇気だってなかった。

そんな時に届いたメッセージ。

つい、いてもたってもいられなくなった。

“ジェシー、元気？忙しい時にごめん”
“Aが最近体調良くないらしくて…”
“検査したら、治療のせいで免疫がかなり下がってて、少しのことでも危ないみたい。今日から無菌室に入ったって樹から連絡あった”
“直接部屋には入れないらしいけど、ジェシーも時間できたら覗いてあげてほしい”

思えば、このドラマの撮影が始まってからは、Aの病院へ行かなくなった。

それどころか、他に仲の良かった他のJr.とも、連絡さえ取らなくなっていた。

慎太郎からのメッセージも、しばらくぶりだ。

木村「なんつー顔してんの、お前」

赤「木村さん…。え、っ…あの…。あ、A…。A、ご存知ですよね。その…今、慎太郎から連絡もらって…なんか、Aが…」

木村「ん？A？…あぁ、なんか最近あんま調子良くないらしいね」

赤「えっ…。そのこと…ご存知…だったんですか？」

木村「あぁ、たまたまね。さっき、亀から連絡来てたからさ」

“明日、撮影が終わったら連れてってやるよ、俺もアイツ心配だし”って…頭が上がらない。

それと同時に、Aのすごさを改めて実感する。

これまで、Aがどれだけ頑張ってきたのか。

どんなに必死にこの世界に縋りついて、こんなに熱い信頼のおける先輩たちに認められて、味方につけて、どんな思いで、そんな世界から身を引いたのか…。

それなら俺は、Aが帰ってくるまで、Aの分まで精一杯に頑張らなきゃ。

…とは、この時の俺には思えなかった。

まだ、俺はAと比べるなんてできないほどに、未熟すぎたのかもしれない。