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そんな生活を初めて1ヶ月、私の体重は7kg落ちた。
順調だったはずが、7kg落ちてから1週間体重は変化しなかった。停滞期だ。
停滞期はわたしをさらに焦らせ、もっと痩せなきゃという気持ちをより強めた。
朝に食べていたサラダチキンを止め、昼食はスープのみ。
もうわたしの胃は固形物を受け付けない状態になっていた。
「A、Aわかる?」
「…え?」
気がつくとわたしはスタジオのマットレスに寝かされていた。メンバーたちは泣きそうな顔でこちらを見ている。
「わたし、どうしたの?」
「お前撮影中に倒れたんやで」
「え、ごめん!大丈夫やから撮影再開しようや」
ガバッと起き上がると、目の前が歪んでバランスを崩してしまった。横にいたどば師匠にキャッチされる。
「おっと、セーフ」
「ごめ、どばちゃん」
そんな状況じゃないのに、がっしりした腕に肩を抱かれて少しときめいてしまう。
「お前な、もう痩せんでええやん。痩せすぎなくらいやろ…」
痩せすぎ?どこが?
きょとんとしたわたしを見て言いたいことを察したてっちゃん。
「わからんのか?」
「わからんもなにも、痩せてへん…」
わたしの発言に、痛々しいとでも言うようにみんな顔を曇らせた。
「お願いやからもうやめてや…」
どば師匠の腕に力が入る。泣きそうなのを我慢しているようだった。
いつもおちゃらけているどば師匠の真剣な表情に、自分がしたことを自覚した。
いい歳して無茶なダイエットをした結果、大好きなメンバーたちに迷惑をかけてしまったのだ。
「…うん、ごめん、」
「お前どんなところで頑固出してんねん。倒れたら元も子もないやろ」
「ごめん」
「ほんまにアホやな」
それぞれに一言ずつお叱りをいただき頭を叩かれた。
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自宅のチャイムが鳴る。
「はーい」
「A、メシ」
「準備終わってないから上がってまっててー」
マンションのエントランスを開け、メイクを再開する。
ガチャ、と玄関が開く音がしてどば師匠がリビングに入ってくる
「お前なぁ、玄関の鍵開けっぱなしやんけ。ちゃんと閉めとけや」
「出かける時は閉めてるし」
「家にいる時も閉めてください」
あれから1ヶ月、メンバーは頻繁にわたしをご飯に連れて行ってくれるようになった。
特にどばちゃん。暇さえあれば今日のように家まで迎えに来てくれる。
おかげでわたしの体重は少しずつ戻っているし体調も良い。
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あいう - 面白いからいっぱい更新してほしい!!です (3月27日 23時) (レス) id: 9d9e909624 (このIDを非表示/違反報告)
か - 最高 (1月30日 11時) (レス) @page30 id: 4b027b8348 (このIDを非表示/違反報告)
す - 大好きです!面白すぎました!!更新お願いします!!お願いです、!! (11月16日 23時) (レス) id: 25b83695bb (このIDを非表示/違反報告)
ほえ - 更新待ってます!頑張ってください (2021年11月19日 16時) (レス) id: c9c36d94f1 (このIDを非表示/違反報告)
鶴舞しゅん(プロフ) - 応援してます! (2021年10月25日 16時) (レス) id: 94c5de59b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:4したか | 作成日時:2021年8月16日 5時