19 ページ19
·
あんまり思い出したくないやろうけどさ、と前置きをしながらソファに座るどばちゃんが言う。
「なんで急にダイエットなんかしようと思ったん?」
「…ケンタッキー大食いした日、あったやん?」
「おう」
あの動画は既にアップロードされていて、私の後半の食いっぷりは視聴者さんに好評だったようだ。
「あの日の朝、ちょうど鏡で自分の体見てん。
なんか太ったかなって思って」
「…そしたら、ケンタの撮影中にてっちゃん達にデブって言われたやんか。
それでやっぱり自分デブやったんやな、痩せなあかんやんって思った」
引かれそうで話すのを無意識に拒んでいたが、ぽつりぽつりと考えながら言葉にする。
どば師匠になら全部話してもいい気がした。
「…俺、あの時、太った?って聞いちゃったやんな。
ごめんな…」
どばちゃんは頭を下げてくれた。
動画を面白くするためだったのにも関わらず、大袈裟に捉えて勝手に自分を追い込んでしまったわたしが悪いのに。
「どばちゃんは悪くないよ」
「いや、ちゃんと考えて発言するべきやった
…つらかったよな。ほんまごめん」
何度も何度も吐いてはしにたくなって、どんどん自分を嫌いになっていった。
わたし、つらかったんだ。
どばちゃんの言葉に自分の体も心も限界を迎えていたことに気づく。
自然と涙が溢れてきてどばちゃんの胸で泣いた。
泣き止むまでずっと、わたしをそっと抱きしめて頭を撫でてくれた。
「…A、お前はそのままで十分魅力的や。
俺らみんな、メンバーも視聴者もお前のこと大好きやで。
やからなんも心配せんと黙って愛されてればええねん」
な?
わたしの涙を指で拭いながら、優しい笑顔で微笑む。
「うん、ありがとう」
涙をふいて笑顔を向けた。
どばちゃんの顔がゆっくり近づく。
ちゅ、と小さいリップ音が静かな部屋に響いた。
「ん、」
何度も繰り返される彼からの優しいキスに頭がクラクラした。
·
282人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいう - 面白いからいっぱい更新してほしい!!です (3月27日 23時) (レス) id: 9d9e909624 (このIDを非表示/違反報告)
か - 最高 (1月30日 11時) (レス) @page30 id: 4b027b8348 (このIDを非表示/違反報告)
す - 大好きです!面白すぎました!!更新お願いします!!お願いです、!! (11月16日 23時) (レス) id: 25b83695bb (このIDを非表示/違反報告)
ほえ - 更新待ってます!頑張ってください (2021年11月19日 16時) (レス) id: c9c36d94f1 (このIDを非表示/違反報告)
鶴舞しゅん(プロフ) - 応援してます! (2021年10月25日 16時) (レス) id: 94c5de59b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:4したか | 作成日時:2021年8月16日 5時