#6 『名前』 ページ6
「そーいやさ、お前の名前どーするよ」
2階に上がってからそういえば、と
銀さんが、首を傾げ私に問う。
「そうですね…すみません名前すら覚えてなくて」
「銀ちゃん、何か良いあだ名無いアルか?」
神楽ちゃんが問いかけると銀さんは少し考え込むようにしてから、こう言った
『"謎っちゃん"なんてどうだ』
銀さんの言葉に、新八君と神楽ちゃんは「そのまんま」とジト目で銀さんを見る。
「仕方ねーだろ。名前も不明。年齢不明。住んでいた所も不明。謎だらけ。はい、謎っちゃん。」
「適当過ぎじゃないですかそれ…貴方は、それでいいんですか?」
新八君が問いかけると、皆は私に注目する。
私は「はい。謎っちゃんで!」と喜んで笑った。
それから、私は謎っちゃんとして新たな人生を歩み始めた。
「謎っちゃん!ティッシュ取ってアル」
「はい、どうぞ」
「ありがとうネ!謎っちゃんはどっかの眼鏡と違って気が利くアルな!」
「ねぇ、どっかの眼鏡って僕の事?ねぇ」
『ワン!』
談笑していると、どこからか犬の声が聞こえた。
「…犬飼ってるの?」
「あ…あれは犬…ですよね…はい飼ってます一応」
何故か目を逸らしながら答える新八君を不思議に思っていると背後に気配を感じた。
恐る恐る振り向いて見ると、物凄く巨大な犬がいた。
「ぎゃあっ」
何だか恐ろしくて近くでうたたねしていた銀さんにしがみつく、銀さんはなんだよとでも言いたげに私を見る。
「い、犬が…!犬なのに…!犬じゃないんですぅ!!」
「あ?何言ってんだてめぇ」
私が指差す先の犬を見るなり「あー」と銀さんは呆れたように声を出した。
「こいつぁ定春って言うんだ。大きさは異次元並だけど可愛いし優しいから。うん、噛んだりとかしないかr」
銀さんの言葉を遮る様に定春は銀さんの頭に噛み付いた。
「めちゃくちゃ噛んでるじゃないですかぁ!!」
ひぃい!と今度は新八君にしがみつく。
新八は「大丈夫です。女の子にはよっぽどの事がないと噛まないと思いますよ」と笑った。
「そう…なの?」
「はい、撫でてやって下さい」
震える手で定春を撫でてみる。
すると、定春は銀さんの頭から口を離し、『ワン!』と嬉しそうにしっぽを振った。
「可愛い…」
「やっぱり定春可愛いアルよなァ!怖がらなくて良いネ!謎っちゃんなら定春もすぐ懐くアル!」
そうかな、と定春の方を伺うと「ワン!」と返事をするように定春は吠える。
私は宜しくね、と優しく撫でた。
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作者名:アホ毛(U^ω^)わんわんお! | 作成日時:2017年6月28日 0時