#3 『喪われた記憶』 ページ3
『記憶喪失!?』
三人が声を合わせる。
チャイナ服に関しては奇声を上げながら頭を強打し、銀髪に関しては「落ち着け!とりあえず落ち着いてドラ〇もんを探せ!」と頭を突っ込み始めた。
「アンタらが落ち着けェ!!」
と、キレのいい眼鏡のツッコミが入ると、二人は落ち着き始めた。
「えっと…本当に記憶が無いんですか?」
「ええ」
「名前も、覚えてないアルか?」
「ええ」
「…1+1は?」
「3……あれ、4…?」
「「「……」」」
三人がジト目で私を見てくる。
チャイナ服が、「これは重症ネ。はよ病院連れてくアル!!」と机を叩き始める。
「うっせぇ!!俺にそんな金があるなら、端から家賃なんてちゃんと払ってんだよ!!」
チャイナ服に向かって銀髪はそう返す。
「ウルセェのは銀ちゃんヨ!!1人の人間と金どっちが大事アルか!?」
「黙れェ!!大体金が無ェ原因の半分はてめぇの食費なんだバカヤロー!!!!」
「んだとォ!?もっかい言ってみろヨ!」
「何度だって言ってやるよ!てーめーぇのしょーくーひーがぁ!!」
「いい加減不毛な会話やめろォオ!!!」
眼鏡が、二人の頭に何処からか取り出したハリセンで思い切り叩いた。
「全く…2人が不毛な言い合いしてるから困ってるじゃないですか。」
二人が私の方に目をやる。
私は苦笑した。
「すまねぇ…つい」
「ごめんアル。銀ちゃんが理解の無いばっかりで…」
「アァ!?」
「だからやめろやてめぇらァ!!」
眼鏡がもう1度ハリセンを向けると、二人は怯える様に正座した。
「…ごめんなさい本当」
「いえ…全部私が悪いの。迷惑かけて、ごめんなさいね。」
私は立ち上がる。
チャイナ服が「どこ行くアルか?」と問いかけてきた。
「記憶を失くしたのは私の責任だし、迷惑をかける訳には行かないもの。出ていくわ」
「行く宛はあんのか?」
「…適当に野宿でもします。とにかく、ありがとうございま……」
すると、三人の手が同時に私の行く手を引き止めた。
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作者名:アホ毛(U^ω^)わんわんお! | 作成日時:2017年6月28日 0時