#16 『違和感』 ページ16
「謎っさん、どうです?此処にはもう慣れました?」
私へお茶をくみながら、新八君が問いかけてくる。
私は「うん。」と頷き言葉を紡いだ。
「此処は新八君の様な優しい人達ばかりだから…」
私がそう言うと、新八君は顔を真っ赤に染めてあたふたとし始めた。
「ぼっ、僕はそんな…!優しい人間なんかじゃ…」
「新八ィ。何も謎っちゃんばそういう意味゙で言った訳じゃないネ。勘違いすんなヨ。」
「うるさいなぁ!!分かってるよそんな事ッ!!」
お茶をくみ終えた新八君が「どうぞ」とお茶を差し出してくる。「ありがとう」と礼を言って私はお茶を受け取った。
「あ、そう言えば…ずっと気になっていたんですけど」
「何だってェ!?謎っちゃんを見てるとムラムラします?新八ちょっと歯ァ食いしばれヨ。すぐ楽にしてあげるアル」
「ちょっとォオ!!どんな耳してんだテメェはァ!?てかやめて銃口向けないで死んじゃうって本当に!」
軽く茶番劇を繰り広げた後、「あ、そうじゃなくて!」と新八君が話を戻す。
「僕、ずっと気になっていた事があるんです。謎っさんが来たのは確か一か月前くらいですよね?」
「え、あぁ…たぶ…ん?」
曖昧な返事をする私に新八君が「あれ?違いましたっけ」と小さく首を傾げる、まぁいっかと新八君は話を続けた。
「確か謎っさんはその時、大怪我を負ってましたよね?顔も体も傷だらけだったのに…1週間後くらいには既にもうほぼ治りきってたし、怪我の跡一つ残っていないから…おかしいなぁって…」
「!」
新八君が私に対してぶつけてきた疑問は私も疑問に思っていた事だった。
何故怪我していたのかすらも覚えていない私だったが、あの治りの速さは異常だと薄々感じていた。
けれど、今まで特に気にしてはいなかったのだが…
「さぁ…なんでだろう。そういう体質?なのかな」
「うーん、体質的な問題ですか。それ」
「なんだヨ、真剣な顔で話してきたから何かと思えばそんな話かヨ。マジつまんねぇなお前」
神楽ちゃんが新八君に対し辛辣な言葉をぶつけると「悪かったなつまんなくて」と返す。
…それにしても、なぜだろう。
今までそんな事気にしていなかったのに、今更感じるこの違和感は。
私は……何者なの?
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作者名:アホ毛(U^ω^)わんわんお! | 作成日時:2017年6月28日 0時