敵対恋愛。弐 (ページ18)

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七ページ18

「一つ目は、探偵社の皆の願いが叶いますように」

此奴、探偵社に行ってから、本当に変わったな

「二つ目は、大切な人が、もう誰も居なくなりませんように」

兄貴が死んだからか、人を助ける為に、自分にも優しくなった。まぁ変わらねェ所もあるけと

「三つ目は、中也が幸せになりますように」

変わらない所その一、自分より他人、大切な人を優先する所

「手前が居なかったら幸せなんてねェよ」

「知ってるよ」

変わらない所その二、何でも知っている様に見える所

「もう一つ欲を云うなら、一回だけでいいからお兄ちゃんと話がしたい」

変わらない所その三、兄貴想いな所

Aにとって兄貴の存在は大き過ぎた。だからこそ、その穴は簡単には埋まらない

だが、少しずつでいい。俺が…

「中也？」

「いい人間になって、死んだ俺の分まで生きろ。兄貴はそう願ってんじゃねェか？」

「…うん、そうだね。お兄ちゃんらしい」

眉を下げて笑うAをそっと抱き締めて、そして、触れるだけの優しいキスをした

「何度でも云う。ずっと俺の隣に居ろ」

「何それ、命令形じゃん」

「命令だ」

「仕方ないなぁ…」

Aは俺から離れると、海を見た

「よし、泳ごう！！」

「何だそりゃ！」

Aの突飛な提案に大笑いする

「折角の海だもん！泳がなきゃ！」

二人の楽しそうな声が、夜の海に響く

大袈裟って云われるかもしれないが、此奴に出逢えて良かった

「ほら中也！」

靴を脱ぎ、浜辺を走るAは、やがて海に飛び込むようにして入った

神や仏なんて信じちゃいねェ。だが、Aとの出逢いだけは、運命だと信じてもいい

Aの兄貴、心配しなくてもあんたの妹は、俺が幸せにしてやる

「おう！」

────悪くねェ、七夕の夜だ