輝きの彼 ページ5
零「A、吾輩の目を見んかの」
『……お断りします』
零「A」
『…分かったよ』
渋々、零と目を合わせるために顔を上げ、長くなった前髪を横に流した
本当は誰も見たくなかったんだけど
な「Aちん。あの頃の輝きを失ったんらよ」
零「やはりか、」
『…ずっと取り戻せないんだぁ、なんで消えちゃったんだろ、私が死んだからかなぁ』
あれから何をしても私の輝きは戻らなかった
あの日、私が死んだ日。
満月の綺麗な日。
金色に輝く彼を追って殺されてしまった。
馬鹿だなぁ私。
零「そうかえ…お主は、もうあの頃のお主では無いのだな」
『うん。Aの化けの皮を被った何かだよ』
な「そんなこというりゃよ!!Aは1人しかいないりゃよ!?」
『人格はその人の中にいくらでも作れるよ』
笑えない冗談を口にしてはまた下を向いた
廊下側から2番目、1番後ろの席に座ったがいつも通り黒板がこの距離からは見えないみたいだ
あいにく隣の席に座る人がいないため黒板に何が書いてあるかは聞けない
零「お主、これからどうするつもり……」
レ「ぐーてんもるげーん!!わはは!あ、レイだ!ん?お前は誰だ!?さては宇宙人だな!?うっちゅ〜☆」
な「な!?レオちん!?レオちんまで忘れたんらー!?仁兎なずならぞ!!!」
零「まさかこのタイミングで戻ってくるとはな、少々波乱が起こりそうじゃのぉ……」
すぐそこのドアが勢いよく空いた
聞き覚えのある声に胸が締まり苦しい
あの頃の記憶がフラッシュバックする
私の記憶が正しければ、黄昏時の色をした月の輝きの持ち主だ。
レ「お前……Aか…?」
『……』
レ「いや、違う?。Aはそんな廃れた音がしないからな☆」
『そっか。今の私は音が廃れているんだね。』
自分の音を確かめられて安心した
普通は見えない音や色を具現化したものを見れるものは数少ない。
これでようやく自分が完全に死んでいると自覚した。
レ「お前、辞めてなかったんだな」
『そっちこそ、不登校だったらしいじゃない』
レ「人の事言えないだろ」
『なんで隣の席座るの』
レ「ここがおれの席だからだよ」
『……はぁ。』
お互い目を合わせることも無く淡々と鋭い言葉を並べる
きっと今お互いの雰囲気は地獄みたいなどろどろしい色をしているだろう。
見えていなくてもここに輝きはないと感じた。
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作者名:うななちゃま | 作成日時:2023年4月27日 0時