隣席の赤葦くん［ 赤葦京治 ］

４. 攻略 ページ5

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吹部が演奏して一年生が入場する。
私や赤葦くんはただひたすら真顔で
拍手を叩く。ちょっと絵面が酷いけど。

でも見てて思うのは中学生の時と
入学式ってあんまり変わらない感じ。
そりゃあ吹部の技術は違うけどね。

入場が終われば拍手も冷めるが、みんな
名簿を貰った一年生を探してるみたい。
写真までは貰っていないので雰囲気だけで
探すなんてある意味ゲームなのかな。



｢ 赤葦くん赤葦くん ｣

｢ 青木さんどうしたの ｣

｢ 赤葦くんが名簿貰った子どんな子？ ｣

｢ 名簿？…あぁ普通の女の子だと思う ｣

｢ 女の子なんだ！私男の子だったよ〜 ｣

｢ …そうなんだ ｣



一瞬赤葦くんの眉間に皺が寄った気がする。
いや、流石に無いか。考えすぎかな〜。と
ぼちぼち頭の中で完結していた時。



｢ いいな、一年生 ｣

｢ 何が？ ｣

｢ 青木さんみたいな優しい人に校内案内 ｣
｢ してもらえるとか、素敵だと思う ｣

｢ えぇ…？ ｣



なんで急に爆弾落とすのかな。赤葦くん。
柄にもなく照れちゃいそう。違う照れてる。



｢ 赤葦くん、それは好きな子に言ってね ｣
｢ 私じゃなかったら勘違いするよ100％ ｣

｢ 照れてるんですか ｣

｢ 違うし〜〜〜？てか敬語 ｣



怖い。赤葦くん怖い。一発で私が照れて
心でお祭り騒ぎしてる事当ててきたよ。
何、私対赤葦くんだと顔に出やすいの？



｢ あ、青木さんそろそろ校歌来ますよ ｣

｢ ほんとだ…あ、ねえ敬語！ ｣

｢ 敬語はたまに外しますね ｣

｢ なんで変な所ケチなの？｣



なんだか赤葦くんはよく分からない。
赤葦くんの攻略本的なのは無いのか。
いや、無いし攻略する気もないけどさ？
あった方が私の心拍数が安定するよ。



｢ ほんっっっと、読めないな赤葦くん ｣



小さく小声で言った言葉は届かない。
赤葦くんは何を考えているんだろうか。
私に攻略はまだ早そうです。









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