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健康体のAは豊久に連れられてエルフ達に顔を見せに行くこととなった。
「トヨさん、そちらが新しいドリフですか？」
豊久の一歩後ろを歩くAを指すエルフ。
豊「応、俺の妻じゃ。」
A「…島津、Aです。」
与一や信長よりも遥かに多いエルフ達の視線にたどたどしく自己紹介をするA。
幼い頃から蝶よ花よと温室の中で育てられた彼女にとってこんなにも大勢の人の視線を受けるのは豊久との婚姻の儀以来だった。
目立つのは怖い。
そんなAの思考とは逆にエルフ達の驚きと畏怖が混ざった視線はAへ釘付けになった。
「ぜんっぜんドワーフじゃないじゃん。」
まずは容姿。
豊久が飲みの席で指した身長の倍は大きい。
座った状態の豊久が示した身長なので当たり前と言っては当たり前なのだが、エルフ達は間に受けていたようだった。
故に想像していた太い腕や足、ごわごわの髪、野太い声、、、一般的なドワーフを思い浮かべていたエルフは目を丸くした。
一度も日に当たったことが無いような白い肌、手入れの行き届いた長く真っ直ぐな黒髪、力を込めればポキリと折れてしまいそうな手足、吸い込まれそうな程に深い漆喰の瞳、程よく高い鼻に薄い唇。
エルフと違って彫りは浅いが明らかに美女と呼ばれる部類のAを見て、少し声を潜めてエルフ達は囁き会う。
「本当にトヨさんの奥さん？」
「攫ってきたのか？」
そんな憶測が飛び交う中おずおずと前に出たのはマーシャとマルクだった。
「誘拐はダメだよ。」
「無理矢理はもっとダメだよ。」
「「返してきて。」」
二人のその言葉に豊久は若干キレる。
豊「此奴は俺の妻じゃ、誘拐何ぞしとらん。」
「嘘だぁ！首ばっかりのトヨさんにあんな美人な奥さんが捕まる訳ないじゃん！！」
豊「阿呆、正真正銘俺の女じゃ。」
「ーーーーーーー」
豊「ーーーーーーーー」
延々と続く豊久とマーシャ達の怒鳴りに後ずさりしながらAは声をかける。
A「あのぅ、本当に豊久さまとは夫婦で…」
その言葉が耳に届いた瞬間エルフ達の動きが止まる。
「え…何で？」
首ばっかなのに？というのが全員の総意であった。
A「何でって、お父様が決めた結婚ですので深い事情とかはなかとです。」
お家同士が決めた結婚に疑問を持ってはならない。
戦国の世を生きる女の常識だ。
女の価値なんて所詮その程度なのだから。
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作者名：ラーメン | 作成日時：2023年6月27日 0時
