ハルのさやみる小説 ⑦ (ページ15)

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歪みと距離　15 ページ15

「私、彩のこと好き」

どんな表情を浮かべているだろう。

あんまり気にしてないのかな？

「知ってた」

「え」

思いもよらぬ言葉に驚きと困惑の声が漏れた。

「だって、美優紀わかりやすいんだもん」

そういう彼女は、言葉を続ける。

「私は、美優紀のこと昔から好きだった。

初恋だよ？笑えるでしょ？」

笑えないよ…知らなかったよ…。

「…だから、拒んだ」

他の人よりも距離が近いから、このままでいいやって思ってた。けど、だんだん一番になりたい、もっと特別で痛いっていう気持ちが強くなった。

それでも私は、美優紀に幸せになって欲しいと思ったから。

笑っていう彩に、私は真っ直ぐに言う。

「そんなの、綺麗事でしょ」

ごめんね、私は根っから歪んでるの。

私は貴女を好きになって、それで幸せになって欲しいなんて思ったことない。

だって、好きな人なら私が幸せにしてあげたいと思うから。

「ハハ、やっぱり美優紀には敵わないな」

彩は頭をかいて笑った。

「そうだよ、綺麗事。

自分の気持ちに嘘ついて、彼氏いるみたいにみせて、私のこと拒むように背けた」

「なんで…」

「だって、そうでもしないと美優紀は、前に進めないから」

私はもう必要ないと思ったから。

美優紀はクラスに馴染めて、友達も増えて、充実した学校生活を送るようになっていた。

だから、それがわかったから彩は身を引いたのだ。