誰方か私の文章能力向上に協力してくださいませんか？

また、会える日まで。 ページ3

・

桜が吹雪のように舞う、風の強い日。初めて会ったこの場所で、その焦げ茶の髪を風になびかせながら、貴方は微笑んだ。


「ーー好きだよ」


その言葉が口から発された時、涙が一粒私の頬をぬらした。ずっと言って欲しかった言葉のはずなのに、こんなに切なくなるのはきっと、その言葉が私ではない他の女性へと向けられているからだろう。そもそも、私のような"人外"が、人間を好きになったのが間違いだったのかも知れない。元々、私はみかんゼリーで、今のような人間の姿ではなかった。それが、何故人間の姿になったのか。それは、一年前に遡る。

ある日、工場で作られた私のところへと神が降りてきた。神は「僕が人間にしてあげるよ」と、まるで星マークがつきそうな軽い調子で、私に魔法をかけた。そうして、私はみかんゼリーの姿から人間の女性の姿へと変身した。神は、消費期限が切れる前に想いを寄せた人とキスをしないと天国へと逝ってしまうということを私に伝え、消えてしまった。何とも自分勝手な神だろうか。

それから暫く経ち、貴方に出会った。話をしている内に、私は貴方にだんだんと惹かれていって。私の努力の成果か、2人きりで出掛けるくらいの仲になった。
今までのことを思い出している間にも、とめどなく涙は流れて頬をぬらしていく。


『……ごめんね』

一言も喋らずに泣いている私を見兼ねたのか、神が耳元で囁いた。ごめんね…？一体、何に対して言っているのか。私の事を人間の姿へと変身させたことにごめんねなのか。それならば、謝らないで欲しい。

「…私、人間になれて幸せだったよ」

そう、幸せだったのだ。みかんゼリーとして一生を終えるより、1人の人間の女性として恋をできたことが。たとえ、短い命だったとしても。

「そっか、それなら良かったよ。…そろそろ時間だ、行こう」

神は微笑みながら私に言う。もう時間か…神の方へと振り向き、私は驚いた。何故なら、神が泣いていたからだ。大方、私に同情でもしたのだろう。…神はいい奴だ。私が天国へと逝っても楽しく暮らせるようにと、色々としてくれた。天国へと逝っても悔いはない、と言えば嘘になるが、神のお陰で天国へ逝っても楽しく暮らせそうだ。

君と過ごした日々は幸せだった。伝わる事はないけれど、これだけは言わせてね？

ありがとう。貴方に出会えて、私は幸せでした。また会えるのならば、今度こそ貴方にこの気持ちを伝えるから。

また会える日まで___

1人で【観覧注意】→←愛しています、いつまでも。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す