□18(丸山side) ページ18
そもそも事の発端はと言えば、自分が前のマンションの更新を忘れていた事から始まった。
たまたまその話を車中で大倉にしたら、自分も近々引っ越す事にした、というような世間話をしたのだ。
大倉もその頃は、熱心なファンからの付きまとい行為に大分神経をすり減らしていたし、そのタイミングでの引っ越しには俺も納得していた。
そこから、良い物件を見つけたやら、ちょうど二部屋空いているやらと、トントン拍子に話が進んでいき、そしてあの日、俺達は彼女と出会ったのである。
いや、"出会った"と言うより"再会した"と言う方が正しいだろうか。
「まあ正直、すでにちょっと厳しいとこもあんねんけどなぁ･･･」
それから、溜息ともつかない短い息を吐く。
「だから、はよ次の部屋探せや」
ドスの効いた声でそう言った村上君に、俺はヘラヘラと笑っておいた。
確かに、自分が誰かと一緒に住むというのは究極に不向きだ。
人と一緒に居る事はもちろん好きだし、何かを共有したいと思う事だって当然ある。
何より、ちゃんと楽しいと思っている。
けれど、自分ひとりになって、ゆっくりと自分自身を消化していく時間も必要なのだ。
誰にも知られたくない、見られたくない表情や一面もある。
24時間365日、みんなが思う"マルちゃん"じゃない時もある───。
長い付き合いのある大倉ならまだしも、それを全くの他人である彼女に見られるのは、当然ながら憚られるものがあるのだ。
そう思ったら、いつしかあの家の玄関を使う事はなくなっていた。
6階に設けられたドアから、まるで彼女の視線を避けるように出入りしている。
これも良い経験だからと理由付けしておきながら、俺は何一つシェアしようとはしていなかった。
そして彼女もきっと、そんな俺の心中に気が付いているだろう。
家で顔を突き合わせても、変わらず朗らかな挨拶はするが、それ以上関わろうとはしてこない。
傍から見たら、彼女が不憫で仕方ないだろう。
しかしそれでも、俺の心に彼女を受け入れられるだけの"ゆとり"はまだなかった。
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めめこ(プロフ) - 匿名さん» 癒やしだなんて･･･！こちらこそ、ありがとうございます！ (2022年4月3日 8時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 夜な夜な作品読ませていただいています、日々の癒やしです、ありがとうございます！ (2022年3月30日 2時) (レス) @page45 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» まさにうちキュンに影響された作品です(笑)引き続き応援よろしくお願いします！ (2022年2月21日 22時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うちキュンですね♡何か本当に頭の中にこのストーリーの映像が浮かびます(^^)応援しております！ (2022年2月20日 23時) (レス) @page24 id: bdc8ba7bac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年2月11日 20時
