月永レオの誕生日 ページ6
「王さま」
「………セナか、どうした?」
「いや、壁に落書き(作曲)する奇行はいつものことだけど、なんでそんなに暗い曲なわけ?」
今日、あんたの誕生日でしょ、と伏し目がちに言うセナ。ああ、そうだ、今日はおれの誕生日。誕生日なのに、Aはおれの隣にいない。
「……とにかく、パーティには来なよねぇ。みんな待ってる」
「………ああ」
ほの暗い曲調ばかりが浮かび上がる。昨日までは、こんなんじゃなかったのに。Aとルカたんからプレゼントの要望を聞かれて、どうせなら三人で買いにいこうと約束までしたのに。
『ごめんねレオ、どうしても外せない仕事が…』
申し訳無さそうに眉を下げて、無理矢理笑ったおれを見て、Aは泣きそうだった。
毎年、ちゃんと祝ってた。色々あったけど、今年もきっと祝ってくれると心の中では思っていた。
おれはアイドルとして、Aはプロデューサーとして、徐々に会う時間が減って、すれちがって、初めて喧嘩して、それでもおれたちの関係は変わらないって信じてた。
仕事なら仕方ない。Aはいろんな人から頼りにされていて、必要とされている。ずっと自分の居場所を求めていたAにとって、喜ばしいことに違いはない。
それでも、Aがずっとおれやルカを一番大切だと思ってくれていると信じていた。
「…Aは、やっぱりおれのこときらいになったのかな」
「そんなわけないって、王さまが一番わかってるでしょ」
背後から声がしてびゃっ、と変な声を出してしまった。恨めしそうに声の主であるリッツを見ると、眠そうな顔ではあったけど、真剣な目でおれを見ていた。
「Aが王さまのこと一番大事に思っていること、ちゃんとわかってるくせに、どうして」
「なあリッツ、本当にそうなのか?」
不安な気持ちが止まらない。ずっと一緒にいたから、離れることなんてなかったから、こんなこと初めてだ。
「…こんなに王さまを不安にさせるなんて、Aも悪い子だね」
少し驚きつつも、リッツが視線を遠くに向けた。バタバタと足音が聞こえる。ケイトの「度し難い!」というセリフまで聞こえてきそうだ。
『レオ!!!』
その代わりに聞こえたのは、おれが今一番求めてやまなかった声だ。
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海道蓮(プロフ) - 優曇華院咲月さん» 了解しました! (2021年2月2日 23時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
優曇華院咲月(プロフ) - 海道蓮さん» レッスン室にレオ先輩の忘れ物を届けにいく的な? (2021年2月2日 7時) (レス) id: b913713117 (このIDを非表示/違反報告)
海道蓮(プロフ) - 優曇華院咲月さん» リクエストありがとうございます!ご希望のシチュエーションがあれば教えてください! (2021年2月1日 23時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
優曇華院咲月(プロフ) - リクエスト! Knightsの方と絡めて欲しいです! (2021年1月31日 23時) (レス) id: b913713117 (このIDを非表示/違反報告)
海道蓮(プロフ) - moekaさん» コメントありがとうございます!更新不定期でごめんなさい。本編が進み次第、どんどん書いていきたいと思います! (2021年1月28日 0時) (レス) id: 3f508cdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海道蓮 | 作成日時:2020年8月7日 14時