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「Aちゃんを返してくれないかい?」


路地裏で太宰がそう言った。

黒髪に紫眼を持った露西亞人、フョードルは言った。


「そう言われても…攫ったのは僕じゃないので。」


真意の読めない笑顔を貼り付け対峙する二人。


「でも、軍警を殺したのは君だろう?」


「友人…いえ、知り合いに頼まれたので。
 僕としても邪魔は消しておきたい。
 …利害の一致です。」


二人の目は冷たく、相手を探る。

そこに陽気な声が響いた。


「え〜!?何で言い直したのさ!私とドスくんは
 友人ならぬ親友だろう!?」


何処からか現れたのは真っ白な道化師、ゴーゴリ。

服装には汚れはないが、彼は少しだけ鉄臭い匂いを
纏っており誰かを殺めてきたのは一目で分かった。

こちらも真意の読めない無邪気な笑顔を
貼り付けている。

一人称を偽っている時点で、上記の言葉も本音かどうか
わからない。


「…なるほど。君がAちゃんを攫った張本人か。」


ここで太宰とゴーゴリが睨み合った。


「Aちゃんを返してくれないかい?
 彼女の友人とご両親がとても傷ついているのだよ。」


「ん〜…。じゃ、ここでクイ〜ズ!私はAちゃんを
 どうするでしょ〜か!?ヒントは返さない!
 あ、答え言っちゃった!?」


再び冷たくたる、3人の周り。

冷酷な目で見つめ合う3人の男性。

ゴーゴリが口を開いた。


「…私は自由な鳥が好きだ。
 私に一目惚れと言う感情を与えたAちゃんは
 僕にとって恨めしく、とても愛おしい子なんだ。
 けれど、僕は自由になりたい。だから、いつか
 Aちゃんを殺す。」


太宰の目が見開かれた。

そして口を開く。


「…そんなことは、させない。Aちゃんは必ず
 私達が救い、元の幸せな生活に戻ってもらう。」


その目にあるのは、真剣な決意。


「…やってみなよ。Aちゃんの居場所も知らない、
 まだ何も分かっていない君達には
 無理だと思うけど…精々、無様に足掻いてみれば?
 ……それじゃあ、私達はもう帰るね☆」


冷たく真剣な声からは一変して、陽気な声に戻ると
ゴーゴリは外套を翻し、フョードルと共に
その場から消えた。

太宰は心配でついてきた、中島敦と泉鏡花と合流し
武装探偵社に足早に戻った。

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あめらぎ - このお話むっちゃいい…!!ニヤニy(( 投稿待ってます!! (8月14日 14時) (レス) @page15 id: 2efa59a76b (このIDを非表示/違反報告)
赤だか青だかわからない - ずっとニョニョしてました!頑張って下さいませ!!(⁠^⁠^⁠)ニヨニヨ (2023年3月4日 13時) (レス) id: 2f74d2ec43 (このIDを非表示/違反報告)
りんごくん。 - 初コメ失礼します!!とてもおもしろいので無理しない程度で投稿頑張って下さい!!! イラストも最高過ぎます、 (2023年3月1日 14時) (レス) @page7 id: 8e3a1df3b4 (このIDを非表示/違反報告)
ロア - 面白いですね!!!!!!!!!!!頑張ってください。!! (2023年2月14日 20時) (レス) @page4 id: f71c6b27b8 (このIDを非表示/違反報告)
ほしくず(プロフ) - もうにやにやすぎる…にへへへへへ (2023年2月14日 15時) (レス) @page4 id: 64bb885ea9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:未月 | 作成日時:2023年2月5日 21時

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