15 ページ17
『ふぅ…ご馳走様でした。お皿洗うのでシンクに置いといてください』
「あ、いや…いい、後でやる」
『え…左馬刻さんがですか?』
「何だよその目…俺だってなんもやらねぇガキじゃねぇんだ」
『はあ…』
でも今まで全部任せっきり
だったじゃないか
というツッコミは我慢して
珍しいこともあるんだなと
俺の分の皿までシンクに持っていった
左馬刻を見ていた
もしかして、前に俺のことを
聞き出そうと踏み込んできたこと
申し訳ないとか思ってるんだろうか
あれは俺が聞かれたくなくて
突っぱねただけだし
貴方は何も悪くないんですよ
左馬刻さん
『…なんか聞きたいことでもあるんですか?左馬刻さん』
「は?……いや、」
『確かにもうかなり経ってますし、お互いのこと知らないことばかりでムズムズしますよね。当たり前です、俺だって左馬刻さんのこともっと知りたいですもん』
「…一郎になんか聞いたか?俺のこと」
『はは、まぁちょっとだけ…』
俺の何を聞いたんだって
聞かれると思ったけど
左馬刻は目を伏せて
少し黙ったまま何も言わなかった
その顔は焦っているような
悲しそうな
変な顔だった
「……なぁ、俺はお前のこと知りてぇよ…聞いていいか?今は答えられることだけでいい、少しでいいんだ…」
腫れ物のように扱われている
自覚はある
仮にもカタギじゃない仕事
こんなに慎重に人と話すことはない
彼にとって俺は
そんなに危ういのか
棘のない優しい口調で話す相手が
家出したガキって、笑えない
優しすぎだよ左馬刻さん
俺はただのガキなのに
迷惑ばっかかけてる子供なのに
あんたの優しさは甘えたくなるよ
ダメって分かってんのに
「な、俺も話すよ自分のこと。だから教えてくれ、お前のことが知りたいんだ」
『…左馬刻さんの、こと…?』
「そうだ、俺のこと…一郎からなんか聞いてんだろ?何言ったか知らねぇけど、あいつが知らねぇことも全部話す。それで平等だろ?」
『そんなっ…左馬刻さんは全部話してくれるのに、俺は言える範囲だけなんて、そんなの平等じゃない……ずるいです左馬刻さん…』
「はっ、分かっててやってんだよ」
俺がそんなの認めないって責任感で
止めに入るの予想して言うあたり
この人も俺を分かってきたようだ
だけど、どうしよう
左馬刻さんだけに嫌な思いはさせたくない
けど、やっぱり怖い
あんな目で見られるのは
もうごめんだ
.
241人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絵描きさん(プロフ) - ぺらさん» 分かる(´-ω-`) 左馬刻様をもっと普及させるためにも頑張ります〜 (2018年12月9日 0時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺら(プロフ) - もう、推しが尊い (2018年12月5日 5時) (レス) id: 30c81c3732 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:絵描きさん | 作成日時:2018年10月18日 14時