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「よっ、久しぶり」


気づけば左馬刻さんと暮らして

もう1ヶ月も経っていた


あれ以来、左馬刻さんと言い合うことは

なかったが


俺の身体の件…女であることについても

何も言ってこない


気づいているはずなのに


気遣いのつもりか、興味が無いからか

どっちにしろ何も触れてこない


その今の状況がなんだかむず痒くて

落ち着かない


その時、一郎さんから連絡があった

実質1ヵ月ぶりの再会だ


「その…左馬刻とはどうだ?噂で知ったんだが、一緒に住んでんだろ?上手くやってんのか?」

『う、ん…まぁ……良くしてもらってはいますね。最近は出掛ける前に必ず置き手紙を書いてくれてて…前に起きた時にいなくて慌てたことがあったので、多分そのためだと思うんですけど』

「うわぁ、マジか。俺そんな扱いされたことあったか…?まぁ、上手くやってんならそれでいいけどよ」


前の約束通り

一郎さんは俺を飯に連れて行ってくれた


俺のたった1つ上なのに

もう仕事をやっているらしい


萬屋山田っていう何でも屋さんで

弟達を養っているんだとか


美味しい肉を食べて


弟達の話や、最近の面白い話など

彼は様々な知識に恵まれていた


やっぱり何でも屋なんてものをやっていると

自然とコミュ力が高くなるのか


絶えず飽きない話を聞かせてくれた


「────つってさ!笑えるだろ?」

『上の弟…次郎くん?は、ちょっと抜けてるんですねw』

「ちょっとっつーか大分な!wそれがあいつのいいところだけど!……確かお前も前に上に兄貴いるって言ってたよな?」

『え、あー、はい。いますよ』

「…それって聞いていいやつ?」

『んー…特にそれといって面白いものはないですよ?』

「面白い話じゃなくて……お前の話だよ」


オッドアイの瞳でじっと見つめられる


普段そんなことされないから

嫌な汗が伝う


変な緊張感がさっきまでの明るい空気を

飲み込んだ


『……俺の家族、みんな俺に興味ないんですよ。だから兄も俺と接することはありませんでしたし、美しい思い出もないですね』

「…本当に?」

『……はい』


何も無かったわけがない

が、当然のように嘘をついて誤魔化した


実際、家族という括りで扱われてなど

いなかった


親が俺に興味を持たなかったのも

間違っていない


なのに、見透かすような一郎さんの瞳が


そんな心のざわめき1つ逃さずに

見ているようで


いつもは感じない


嘘をついた罪悪感がいつまでも心に残った

.

9→←7



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絵描きさん(プロフ) - ぺらさん» 分かる(´-ω-`) 左馬刻様をもっと普及させるためにも頑張ります〜 (2018年12月9日 0時) (レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ぺら(プロフ) - もう、推しが尊い (2018年12月5日 5時) (レス) id: 30c81c3732 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絵描きさん | 作成日時:2018年10月18日 14時

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