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「孤児院を........追い出された？」
「僕は........僕は、何もしていないのに........」
悔しそうに顔を歪める少年の瞳には、Aの知らない何か........誰かが映っているようにみえた。
「生きる為には、誰かから奪わなきゃいけない........なんとしても」
Aは一言「そう」と呟いて立ち上がった。
「何処に？」
「特に行き場所は無いですが、ぼくはもう行きます。
貴方と話せて楽しかった」
行く宛てもなくまだ自身の知らないヨコハマを知るために歩き出した。
少年は不思議そうにAの背を見つめている。
急に何かを思い出した様にAは「あ、そうだ」と振り返る。
「じきに
拾うかどうかは........貴方次第、ですけどね」
「それでは」と今度こそ少年に背を向け歩き出したAに無一文の少年━━━中島敦はさらに首を傾げた。
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作者名：あずさ | 作成日時：2022年1月16日 20時
