じゅろーく ページ17
「それにしても、異世界から来たのだから、突然異能力に目覚めるーーなんて事は無い様だね」
「えっ、俺異能力とか必要ないんスけど」
「何故だ?」
「…ま、マトモに使える気がしねぇ…」
「確かに」
異世界はこの世界では強力な武器だ。然し強力が故に制御出来ずその身を滅ぼす人間も居る。
「玲には、ご飯を美味しく作れる異能力…とかがお似合いかも知れない」
「それめっちゃ良いですね!!」
「食事には困らないな」
少し皮肉を込めて云った言葉に真逆の賛同を得てしまい、何処まで行ってもこの子は平和が似合う。と独りごちた。
其れからもたわいの無い話や、太宰の仕事の愚痴、織田が養っている子供達の話、玲の班長とのやり取り等、会話は尽きること無く、時間は過ぎていく
「おっと、もうこんな時間か」
「明日も仕事だ。そろそろ帰るか」
「そうだね。玲」
「タクシー準備万端っスよ!」
キリッと敬礼ポーズを取りながらドヤ顔の玲に、よく出来ました。と太宰が頭を撫で、織田がぶつかりそうになったグラスを端にやる
「んん〜夜風が気持ちいいね」
「そうだな」
「んじゃ、行きますか!」
玲が助手席、二人が後部座席に乗ったのを確認し、タクシーは発車された
すると、窓にポツリポツリと雨がぶつかり始める
「おお、雨降って来ましたね、ギリセーフ」
「嗚呼。良いタイミングだ」
3人の中に会話は無く、それでも嫌な空気にならず、車内では落ち着いた、それでいて心地の良い空間が生まれた。
「玲」
ふと太宰に名前を呼ばれ、後ろを振り返ると、目の前には小さな藍を含めた箱
「結婚指輪っスか?」
「違うよ。開けてご覧」
「ども」
太宰の手から玲の手に移り渡った箱を、パカリと開ければ中には、これもまた藍を含めた涙型のペンダント
「………」
「少し遅くなったけど、就職祝いだよ。」
「………」
「君の目の色に合わせてみた。気に入ったかい?」
「?玲?」
何時もなら うひょー!あざっす!マジっすか!やったぁー! と大喜びする玲はペンダントと見つめたまま固まってしまってる。
窓から指す光だけでは、玲の表情は伺えず、二人は視線を合わせて首をもたげた
「玲?どうしたんだい?」
「え、っ、あ、その…えっと…」
太宰が肩を揺らした事で、漸く我に返った玲の目には涙の膜が貼っていた
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晋陽 - とても面白いです!!更新待ってます! (2018年4月1日 21時) (レス) id: c1e93ed5ca (このIDを非表示/違反報告)
アルテミス - おもしろかったです!夢主君がかわいすぎ (2018年3月25日 0時) (レス) id: ea23810468 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - 山田琉愛さん» 山田さん!白烏に引き続き御愛読有難うございます!いつもコメントして頂き、その分頑張ろうと思えています!これからも宜しくお願いします!(^ω^) (2018年3月4日 5時) (レス) id: 5e1c605be1 (このIDを非表示/違反報告)
山田琉愛(プロフ) - 新作おめでとうございます!この時点でもう面白いからこれからどうなっていくのかとっても楽しみです!無理しない程度に頑張ってください!応援してます! (2018年3月2日 1時) (レス) id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲 | 作成日時:2018年3月1日 1時