溢れて止まない ページ7
監督生が扉を開けるとそこにはAがいた。
光の消えた目でどこか遠くを見つめるその姿に、背筋がゾッとした。脳裏に浮かんだのは、あの部屋の光景。血まみれの服に剥がされた爪。もしそんな拷問まがいなことをされていたのなら、目から光が消えて当たり前だった。
至急、確かめなければならない。
この子は何を抱えているのか。
親として、今度はちゃんと。
｢A？｣
声をかけるも入口で止まり、なかなか入って来ないA。
様子のおかしさに、ゆっくり近づくクロウリー。
刺激しないよう前かがみになり、俯いたままのAの顔を覗き込む。
｢うっ.......うぅ〜っ｣
｢えっ、ちょ、なんで泣いてるんです！？｣
ボタボタと大粒の涙がこぼれては絨毯にシミを作る。
どうしたのか？体調が優れないのか？何か嫌なことでもあったのか？何故泣いているの？そんな疑問を優しくぶつけたかったが、方法が分からなかった。
とりあえず落ち着かせるために優しく腕を掴んだ
｢痛いっ！！｣
優しく触れた、という表現の方が適切だったその行動。
しかしそれを痛いと払いのけるA。
｢ぅ、ぁ、ぁぁ.......ﾋｭｯ、｣
何かに怯えるその瞳。
涙と、吹き出してくる汗。上手く息が吸えない。
パキリ
音を立てイヤリングが壊れる。
女の姿に戻るAに目を見開く。
｢ぁぁ、ごめ、ごめんなさいっ、ごめっ、ごめんなざぃ
ゆるして、ぉねがぁっ、もぅ、ぃゃぁｯ｣
酷く脅え、許しを乞うAに、落ち着けと手を伸ばすも、弾かれる。
嫌な予感がし、咄嗟にAの腕を掴もうとするも、空を切る結果となる。彼女は背を向け、その場から逃げ出した。
｢どこです！？出てきてください！！｣
Aが走り去ったあとを追いかけるも、途中で見失ったクロウリー。何故あの時無理にでも彼女の腕を引っ張り止めなかったのか、自分に対し苛立ちばかりが積もっていく。
｢リーチ君！！Aを見かけませんでしたか！！｣
｢えぇ、知んねぇケド｣
｢そうですか！！｣
中庭でフロイドを見つけたクロウリーは強引に聞くも結局何も情報は得れず、自分勝手に話を切り上げ立ち去った。
｢え、ちょ、はぁ？｣
状況の把握がイマイチ出来ていないフロイドは、学園長の強引さにイラついた。
しかし焦ってAを探している事は理解出来たので、Aのためならとだるい身体を起こし、歩き始めた。
学園中を飛び回り探してもなかなか見つからず、藁をも掴む気持ちでオンボロ寮へと飛んで行ったクロウリー。
どうかそこにいてくれ
そんな願いは無残に打ち砕かれる。
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sanos3568(プロフ) - なんとも言えない感じの、みんなが望むハッピーなエンドじゃない終わり方…!!!すごく新鮮で続きが欲しくなってしまいます (2021年1月10日 22時) (
レス) id: f4781f67b9 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 終わってしまっている！？え、大好きな作品だったのに。 (2021年1月10日 12時) (レス) id: 12d17130d4 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ぉわ、終わｯ？！えぇ？！めちゃくちゃ好きな作品なのに！逆トリってあまり好きではなかったんですけどこの作品はとても面白くスラスラ読んでしまいました笑諸事情もあるかも知れませんがまた更新してくれる日をまってますね！ (2021年1月2日 14時) (レス) id: d830d551d8 (このIDを非表示/違反報告)
もろこしとう - 続きが気になります…。初期のほうから見ているものです。もう更新はしてくださらないのでしょうか…。作者様にもいろいろあるのかもしれませんが、個人的にとても好きな作品なので、またあなた様の作ったお話を読みたいです。待ってます。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: 46812cc13c (このIDを非表示/違反報告)
夢唯(プロフ) - これはっ好きすぎるぅっ!!!!!!!!!! (2020年11月22日 3時) (レス) id: e7fe9bf464 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっこ | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/series/1297564
作成日時：2020年8月21日 12時
