バッドタイミング ページ2
｢綺麗で、一回着たら欲しくなっちゃって
でも、脱がなきゃって思ったんです。
そしたらその時グリムが部屋に飛び込んで来て、勢いのまま突っ込んできたんです。その.......泥で汚れてて着物にその汚れが着いちゃって｣
まぁ、そりゃ誰だって怒る。
私だってAから頂いたハカマを汚されたら怒ります。この前のボールペンの事もありますし、余計に怒っているのかもしれませんね。いや、ホント早く謝りたいんですが中々捕まらないんですよコレが。今日も学校には来ていたらしいんですが、上手く逃げられてしまいましてね。オンボロ寮に様子を見に行ってもまだリーチ君のところに泊まっていて、いないようですし。
というか、昨日帰ってきてたんですね。若しかすると、今から行けば会えるでしょうか。早めに話を切り上げて謝りに行きましょう。そうですそうしましょう。
｢それで、A先輩怒っちゃって。
とても、怖くて。謝っても、許して貰えなくって！
魔法で消せるのに｣
ボソッと、聞き取れない声でそう呟くユウ。
別に服1着くらい汚されてもいいじゃないか。それに、魔法だって使えるんだし。これがユウの心情だった。
しかしその呟きは学園長の耳には届いていなかった。
｢仲直りしたいんですか？｣
｢はい… 許して下さるでしょうか？｣
｢きちんと謝れば許してくれますよ。
まぁ、恐らくですけどね。恐らくですよ？態とやった訳ではないのでしょう？｣
｢勿論です！｣
｢なら、謝り続けたらきっと。優しいあの子です。
仕返しなんかは流石にしないでしょう。｣
｢だと、いいのだけれど｣
そう言って黙り込むユウ。その姿に眉を寄せるクロウリー。何か意味深な言葉を放つ姿に疑問を持つ。
｢あ、いえ、そうですよね！なんでもないです。
あぁ、そうだ！A先輩女性なんですよね？
可哀想ですよ！男装だなんて。
私は、学園長が女子として通うことを許可してくれたり、スカートを用意してくれたりで不自由なく通えてますけど。でも、A先輩もきっと、女として通いたいはずです｣
｢本人が、そう言っていたのですか？｣
｢そういう訳ではないですが.......でも、検討をお願いします。私みたいに、スカートくらいは履かせてあげて下さい。｣
｢ふふ、優しいのですね。他人の心配だなんて｣
｢いえ、そんな。学園長の方が優しいですよ。本当にお父さんみたい｣
照れたようにハニカム少女。
では、失礼しますね
そう言って出ていこうと扉を引いた時だった。
｢あっ.......A、先輩｣
扉の前で立ち尽くし、光の差し込まない瞳で虚空を見つめるAがそこにいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 999人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sanos3568(プロフ) - なんとも言えない感じの、みんなが望むハッピーなエンドじゃない終わり方…!!!すごく新鮮で続きが欲しくなってしまいます (2021年1月10日 22時) (
レス) id: f4781f67b9 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 終わってしまっている！？え、大好きな作品だったのに。 (2021年1月10日 12時) (レス) id: 12d17130d4 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ぉわ、終わｯ？！えぇ？！めちゃくちゃ好きな作品なのに！逆トリってあまり好きではなかったんですけどこの作品はとても面白くスラスラ読んでしまいました笑諸事情もあるかも知れませんがまた更新してくれる日をまってますね！ (2021年1月2日 14時) (レス) id: d830d551d8 (このIDを非表示/違反報告)
もろこしとう - 続きが気になります…。初期のほうから見ているものです。もう更新はしてくださらないのでしょうか…。作者様にもいろいろあるのかもしれませんが、個人的にとても好きな作品なので、またあなた様の作ったお話を読みたいです。待ってます。 (2020年11月30日 23時) (レス) id: 46812cc13c (このIDを非表示/違反報告)
夢唯(プロフ) - これはっ好きすぎるぅっ!!!!!!!!!! (2020年11月22日 3時) (レス) id: e7fe9bf464 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆっこ | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/series/1297564
作成日時：2020年8月21日 12時
